『アポカリプト』以来、久しぶりのメル・ギブソン監督映画です。
期待通りに、スプラッターな描写満載。
自動小銃に撃たれて血まみれになる兵士。手榴弾に両足を吹き飛ばされる兵士。
ミンチのような死体だらけ。
アメリカ軍も日本軍も内臓を飛び散らしていました。
やはり、この人はホラーであり、スプラッター映画の監督です。
ただし、細かいことを言わせてもらえれば、あれは、日本軍の戦い方ではありません。
沖縄戦では、アメリカ軍が日本軍の2倍の兵員を要していました。
あのような人海戦術は不可能なのです
日本軍の戦い方は夜襲と背後からの奇襲
日本軍は小隊単位(約30人)で行動します。各小隊には少尉以上の士官が先頭に立って攻撃するのが普通です。
また、物資不足のため銃弾が限られているので、昼間から攻撃することはまずありません。
日本軍の士官達は優秀であり、むやみに白兵突撃をしたわけではないのです。
夜襲による白兵戦を繰り返すことは、現在の戦争でも大きなメリットがあります。
敵陣に切り込めば、敵味方が入り交じるためにアメリカ軍は砲撃できない。
援護しようにも、味方がいるために、後方の重砲(艦砲も含む)を撃つことが出来ないのです。
アメリカは、沖縄戦以前のサイパン島や硫黄島での戦いで、そのパターンを日本軍に読まれていました。
まず、徹底した艦砲射撃と空爆(ナパーム弾など)による攻撃。
その後、歩兵の上陸、背後からは艦砲射撃と重砲による援護。
このパターンを学習していた日本軍は、地下壕を深く掘り、艦砲や空爆に耐える戦法をとったのです。
砲撃に耐えた後には、アメリカの地上軍が前進してきます。
敵を一旦通過させてから、その背後や側面を襲う。しかも夜襲です。
昼間に真正面から攻撃しては、簡単に全滅します。
兵力や火力に劣る日本軍にしか出来ない戦い方でした。
現実にサイパン島を守備し、生き残った方からこの戦法を聞いたことがあります。
ネット上では、このブログが一番的確に批判しています。
日本軍は人民解放軍やソビエト軍ではない
映画のような、正面からの人海戦術は、人民解放軍やソビエト軍の戦い方なのです。
何故、人海戦術が可能になるのか。
人海戦術は、督戦隊が背後にいるからです。そして、いくら死んでもいい兵隊が大勢いる。
督戦隊とは何か?
背後から後退する味方を撃つ部隊のことです。
後退すれば必ず(味方の督戦隊に)殺されるので、少しでも生き残るためには前進するしかなかったのです。
中華人民共和国は朝鮮戦争で、ソビエト軍は第2次世界大戦の独ソ戦で、督戦隊による人海戦術を取りました。
日本軍には督戦隊はいませんでした。
その代わり、自分達の仲間を決して裏切らない結束があったのです。
督戦隊については、他の映画で登場します。両方共ソビエト軍です。
『スターリングラード(2000)』
www.nicovideo.jp『遙かなる勝利へ』
日本軍人が強いので、映画としてはマシな方
それでも、今までのアメリカ映画に登場する日本軍人より数倍マシでした。
『シン・レッド・ライン』は最悪です。
映画としては美しい画ですが。
アメリカ軍が突撃したら日本兵は逃げ惑って、中にはあぐらをかいて合掌し祈ってる奴までいる。あんな軍隊をアメリカが恐れるはずがないでしょう。