今日の中国21 自転車シェアサイクル日本では失敗。中国は成功か?

2016年から、中国の「シェアサイクル」(中国語で「共享単車」)が急激に普及しています。

専用駐輪スペースは必要なく乗り捨てが可能。

利用者がスマホで最寄りの自転車(GPS搭載)を検索してQRコードで解錠(鍵にSIMカード内蔵)して使用する。

利用料金は30分1元(約16円)程度で非常に安い、参入業者が増えるにつれて更に値下げしています。

料金の支払いは、中国で多く利用されているWeChat Pay(微信支付)やAlipay(支付宝)などの電子マネーです。

 

シェアサイクルにより、大気汚染がやや抑制されるなどのメリットもあったようです。

しかし、問題は乗り捨て式にあります。歩道を埋め尽くす自転車が住民の移動すら困難にしている。

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動画はオーストラリアABCの報道。中国式乗り捨てシェアサイクルの弊害が一目瞭然です。

こんな街には住みたくないとしみじみ思います。

 

ニューズウィークの記事は、日本の自転車シェアリングが稼働率が悪く、何度もスマホで操作しなければならないと批判しています。また専用駐輪場を見つけることが難しいなど。

確かに問題はあるかもしれません。けれども国民性の違いによるものなので仕方のないことです。

歩道に乗り捨てて他人の迷惑をかえりみないのは、基本的に日本人の美徳に反するのでたぶん乗り捨てを許可する事自体を拒否するでしょう。

 

それでなくても、東京や大阪の大都市では放置自転車が道をふさぎ歩行者(特に視覚障害者、身体障害者)の迷惑になっています(中国ほどのレベルではありませんが)。

また、自治体が放置自転車を撤去する費用も馬鹿にならない。

社会実験も結構ですが、住民を実験対象にするのは迷惑そのものです。

www.newsweekjapan.jp

車の利用が減ったため、北京市の渋滞は以前に比べて緩和されたし、今年1~7月の大気汚染(PM2.5濃度)は過去5年で最低になったという。このように自転車シェアリングは、公共交通の利用促進、渋滞や大気汚染の緩和に役立ち、かつそうした都市にとっての重要課題を、もっぱら民間の投資によって、地方政府のサイフを傷めることなしに実現してくれる。だから、地方政府は自転車シェアリングをもう少し行儀よくさせようとすることはあっても、都市景観を損ねるからといって潰すようなことはしないだろう。

 

とりわけ日本で自転車シェアリングを運営している人たちには、ぜひ中国へ行って自転車シェアリングを体験して欲しいと思う。私は北京と東京の両方で自転車シェアリングを利用したが、その利便性には雲泥の差があり、東京のはハッキリ言って使えない。

東京では都心の6つの区がNTTドコモの子会社のドコモ・バイクシェアとともに「自転車シェアリング広域実験」を2016年2月からやっている。中国とは違って、専用の置き場で自転車を借りて、専用の置き場に返さなくてはいけないのは不便だが、まあこれは道路に関する規制の違いに基因するものだから致し方ない。問題はこの「専用の置き場」がきわめて少ないことだ。置き場と置き場が1キロ以上離れていたりするので、「ラスト1キロ問題」の解決には役に立たない。

利用者がとても少ないので、置き場に行けばたいていは10台ぐらいシェア自転車が並んでいるが、1台もないこともあるし、置き場の場所が何度も変わってしまい、見つけるのに苦労したこともある。自転車で行こうとする距離がたかだか1.5キロぐらいなのに、置き場まで歩いたり、置き場を探すのに15分もかかるようではおよそ利用するメリットはない。

さらに、スマホで自転車を借りたり返したりするシステムがとてもお粗末で、中国のシステムの便利さ・簡単さと比べると天と地ほどの差がある。

私が中国で利用しているモバイク(Mobike)の場合、登録したあとで、実際に自転車を利用するにはスマホを2回タッチするだけでよい。すなわちアプリを起動し、QRコードを読み取るボタンをタッチし、スマホのカメラを自転車に印刷してあるQRコードに向ける。これで自転車が解錠され、乗車できる。

ドコモ・バイクシェアの場合、まずブラウザを立ち上げ、自転車シェアリングのホームページを開き、IDとパスワードを入力してログイン、自分が今いる区と置き場を選び、目の前にある自転車と同じ番号をタッチする。すると「貸出手続き完了」というメールがスマホに届き、そこに書かれてある4桁のパスコードをシェア自転車に備わっているテンキーに入力することでようやく自転車が解錠される。ここまで至るのにスマホを20~30回タッチし、メールを受け取り、自転車のテンキーも押さなくてはいけない。