アフリカ 中央アフリカ共和国、自分の国は自ら立て直すしかない

中央アフリカ共和国の現状について。

 

1960年前後、アフリカ諸国が次々に独立し、1960年は「アフリカの年」とも呼ばれています。

この年、中央アフリカもフランスから独立しました。

それから約60年が過ぎました。

相変わらず、紛争が絶えず国民のうち約80万人が難民になっています。

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小学校の時、アフリカの内戦について習いました。

紛争や貧困が続くのは何が原因なのか、先生に聞いた記憶があります。

 

植民地にしたヨーローッパ人が人為的に国境線を引いたために部族が入り混じり、独立後も国境紛争と部族紛争が絶えないのだとか。

その時には気の毒にと思いました。

しかし、独立してから60年経っているのです。同情される期間はもう過ぎているはずです。

 

半世紀の間、何をやっていたのでしょうか。

 

60年間といえば、少なくとも父母、子、孫、ひ孫の四世代が生活し、まともな社会を築いていくのに十分すぎる時間です。

異なった部族が同じ場所に居住していたのは植民地になる前からであって、突然集められたわけではありません。

部族には長がいるはずで、その長同士が話し合いや交渉などを通して、最低限、殺し合いは止めようと提案することさえできないのか。

援助しすぎることも問題では

日本でも生活保護は遺伝すると言われています。

あたり前のことなのですが、子供は両親の生き方を無意識の内に刷り込まれて成長するものです。

生活保護もセーフティネットとして、自立できるまで活用するのは、まったく問題ありません。しかし、保護を受けるのが当然になってしまい、自ら働いて生活する気概を失ってしまうと永遠に受給し続けることになる。

そして、その姿を見て育った子供が果たして自立し働くことはほとんどないのです。

 

難民キャンプで食事や医療を受け、治安を他国民の軍隊に守ってもらうことがあたりまえになってしまえば、その国民は立ち直ることができない(ちなみに、日本国も米国軍に安全保障してもらうのがあたりまえになり、自分の国を自ら守ることもできない状態です)。

しかも、武装集団は難民キャンプから食糧を横流して、武器と交換しています。そのために、延々と内戦が続くのです。

 

国連になんとかして欲しいと訴えているようですが、どうすればいいのか。

軍隊を派遣して誰と交渉し、誰を鎮圧すれば治まるのかもわかりません。そんな危険な場所に、どこの国の人間が喜んで行くでしょうか。

 

内戦に介入する難しさは、内戦をしている人間が国際戦時法に従い戦争をしていないからです。戦争というよりは、ただの殺し合いになっている。

勝利も降伏もない戦いに首を突っ込めば、無駄な犠牲者を増やすばかりです。さらに逆恨みされる。

そのうえに、放っておけばテロリストの潜伏地になると脅される。

 

自ら国を立て直していけるように援助をしなければ、永遠に内戦が続くでしょう。

globalnewsview.org

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世界の取り組み

さまざまな要因が絡み、複雑化している中央アフリカであるが、このような状況に対して世界は何の策も打っていないのか?そういうわけではない。2013年には「中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)」の仲介により、政府やセレカなどが参加のうえ、和平合意が一旦結ばれた。その後悪化した中央アフリカの状況を受け、国連安保理はアフリカ主導の「中央アフリカ国際支援ミッション(MISCA)」及びフランス軍の派遣を許可した。そして現在は「国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)」と呼ばれるPKOが活躍している。MINUSCAのプログラムにより、軍事要員、警察要員合わせて約1万2870人が派遣されている。しかし、直面している問題の規模と任務に対して、人数が圧倒的に不足しており、活動は難航してしまっている。そのほかにも、 LRAを掃討するためにアメリカ、ウガンダ、コンゴ民主共和国、南スーダン、中央アフリカなどが軍隊を派遣しているが、中心的存在であったアメリカとウガンダが撤退を表明しており、行く末は見えない。

国境なき医師団の報告─性暴力が“日常”

武装勢力の拉致による性暴力が“日常”として行われています。

あまりにも酷い話です。しかし、国家機能が崩壊した場所では当然のことなのです。

www.msf.or.jp

10人の女性たちは拉致され、何度もレイプされた――暴力が"日常"と化した国のいま
2018年03月29日掲載

中央アフリカ共和国東部ボサンゴア市で国境なき医師団(MSF)が運営する病院に搬送された女性10人が、組織的なレイプの被害に遭ったことを明かした。

 

女性たちは、ブッシュで水汲みや洗濯、農作業をしていた時に武装勢力の男らに拉致されたという。何とか逃げ切れた人もいたが、他の女性たちは武装勢力の拠点へと連れ去られ、解放されるまでの間に何度もレイプされた。

 

今回発覚した事件は氷山の一角に過ぎない。ここ中央アフリカ共和国では女性へのレイプをはじめ、一般市民への暴力が日常茶飯事と化している。

 

ナイフで切りつけられた被害女性も

レイプ事件は2月17日、ボサンゴア市から56km離れたキリウィリ村で発生。それから2週間後の3月3日、被害女性たちは援助団体のバイクに運ばれ、MSFのボサンゴア病院を訪れた。

 

来院がこれほどまでに遅れたのには理由がある。いつまた襲撃に遭うか分からない一触即発の情勢、性被害者に対する社会からの抑圧、再び性暴力を受けるのではないかという恐怖……さまざまな障壁が、被害女性の受診を阻んでいる。

 

MSFの医療チームは速やかに応急処置をし、婦人科ケア、破傷風と肝炎の予防接種、心理・社会的サポートを行った。レイプ被害によるHIV感染を予防するためには72時間以内に治療する必要があるが、この重要な処置は残念ながら間に合わなかった。

 

MSFのボサンゴア病院で被害女性を治療した助産師スルマヌ・アモワンはこう語る。「女性たちはそれぞれに被害体験と向き合っていたものの、みんな想像以上に傷ついていました。呆然自失だったり、恐怖でこわばっていたり……事件を語るのがとてもつらいという女性もいました。ナイフによる生々しい傷があった人もいます。見るのも恐ろしく、胸が痛みました。MSFの産婦人科チームは女性たちを根気よく丁重にケアし、安全で人目につかない空間を提供しました」

 

被害を打ち明けられない女性たち
MSF病院を訪れた女性たちの証言によると、実際にはもっと多くの人がレイプ被害に遭ったという。しかし、村では性暴力の被害者に対する偏見が根強く、村八分になることを恐れて受診できずにいる。

 

今回の事件の背景には、国内で長引く宗教間対立がある。2016年末に紛争が再燃して以来、無差別な暴力行為は広がる一方だ。

 

MSFの活動責任者ポール・ブロックマンはこう説明する。「組織的なレイプ事件に衝撃を受け、痛ましく思います。この残忍な事件は、中央アフリカ共和国の人びと(なかでも虐待に遭いやすい女性と子どもたち)が過酷な現実にさらされていることを浮き彫りにしています。救急処置を必要とする女性が他にも大勢おり、心配です」

 

隠れた性暴力被害
昨年9月以降、レイプなどの性暴力被害によりMSFのボサンゴア病院で治療した患者は合計56人に上る。しかし、実際の被害者数は記録よりもずっと多いだろうとブロックマンは警鐘を鳴らす。

 

「性暴力は増加中です。何年も前にレイプされ、最近になって初めて医療を受けた患者の報告もありました。紛争の過熱、保健医療スタッフの減少、インフラの崩壊が深刻なこの国で、被害者がレイプに声も上げられず、苦しみ続けることになるのではないかととても懸念しています」

 

MSFは性暴力に遭った人に国内各地で医学的ケアと援助を提供。首都バンギのシカ病院では2018年以降、市外の患者も含め月平均300人のレイプおよび性暴力被害者を治療した。同じくバンギのカストール産科病院では月平均20人、グバヤ・ンドンビアの施設では月平均10人の性暴力被害者を治療し、12月末から支援している地域病院でも通算147人の性暴力被害者に対応している。