主演のナオミ・ワッツが美しい。
しかし、映画はシビアで恐ろしいロシアの現実を描いている。
冷戦が終わり、ソビエト連邦が崩壊した後、日本人はロシアも資本主義国になって普通の国家として成長していくだろう。と考えていた。
ところが、最も成長したのはマフィアだった。
ロシアンマフィアである。犯罪者集団が国家の裏側で勢力を伸ばしたのだ。
ただ、このことはさほど驚くことではないのかもしれない。大統領がかつてのソビエト連邦で最も恐れられた粛清集団KGB長官なのだから、ある意味当然かもしれない。
罪もない普通の自国民を逮捕、拷問、処理した機関の長が国のトップになるとは、ドイツで例えるならば、ナチス親衛隊とゲシュタポの両方の長官を兼任した人物がドイツの首相になりEUの実権を握っているようなものだ。
ロシアンマフィアは自国民を人身売買する。
とりわけロシア女性は美人が多く、買い手も多いのだ。
映画内ではロシアからイギリスに移住した主人公の助産師が、人身売買され妊娠後死亡した女の子の赤ちゃんをマフィアから守り続ける。
死んだ女の子をレイプしたのは、イギリス在住しているマフィアの幹部であることが分かったからだ。
赤ちゃんのDNAが判明すれば、幹部を未成年者強姦の容疑で逮捕できる。
それが分かっているマフィア側が赤ちゃんを殺そうとする。
これは単なる映画ではなくほとんど現実の世界である。
ロシアの歴史を振り返れば、ヴァイキングが河をさかのぼって侵略し、その結果、現地のスラブ人を奴隷として扱った。その国こそが初期のロシアであることがはっきりしている。
どんなに科学が進歩しても、歴史に刻まれた体質は簡単には振り払うことは出来ないのだ。