皆川博子の短編集である。この人は『聖餐城』読んで以来のファンである。
日本人で中世ドイツのことをこれ程生々しく描ける人は他にいまい。
表題作の「猫舌男爵」には猫も猫男爵も登場しない。今の猫ブームよりはるか以前から猫好きの私も期待していたのだが。
しかし、なるほどこんな小説の書き方もあるのかと感心する。
山田風太郎の『甲賀忍法帖』(小説内では“THE NOTEBOOK OF KOHGA’S NIMPO”)が読みたくなる。
「ニンポ・ヒョタン」という忍法を使うと、敵の陰茎がひょうたんのようになり精液を噴き上げ、そのまま枯れ死ぬとか。なんか恐ろしい。
猫舌男爵と何の関係があるのか。実はあるのだ。
これはネタバレしない。
ぜひ読んで欲しい。
「太陽馬」に感激する。これは独ソ戦の話。スターリングラード攻防戦をこんな視点で描いた小説を初めて読んだ。
突然、詩的な文章が数ページ続くので、戸惑う。
コサックとウクライナ人の悲劇。
ドイツとロシアの地政学的な関係、等など……。
スターリングラード戦について書いていると延々と(ミリタリーおたくか歴史おたく以外は)退屈な知識を連ねることになるので、また次の機会に。
ひとまず映画『スターリングラード』(アメリカ 2000年)の一部を。初めの映像のみ。
ソビエトの軍隊は兵士が逃げないように督戦隊が背後から逃げる兵士を撃っていた。
英語のロシア兵士は違和感があるな。やっぱり。
ドイツが制作した『スターリングラード』1993年。悲惨の極み。
ロシアが制作した『スターリングラード2013年』。ロシア兵を美化しすぎ。
もちろん、こんな兵士達もいた事は事実。そうでなくては勝利出来ていない。