少年時代を広島で過ごした。
良い思い出もあるが、ある1つの非常に苦痛なことがあった。
野球に興味のない男子は、馬鹿にされることだ。
しかも、広島東洋カープのファンでない者は、まともな人間扱いされない。
私は、球技が苦手だったので、当然、野球に興味のないカテゴリーに入る。
そして、やたら熱狂する集団が嫌なので、カープファンにもなれない。
多分、野球に興味のない大阪人なら、分かってくれるであろう心境である。
しかし、1979年の広島カープ対近鉄バファローズ(現在のオリックス・バファローズ)の試合は、よく覚えている。
まだ中学生だった。
日本シリーズの第7戦目だ。両者3勝3敗、勝者が日本一になる。
ピッチャーは、江夏豊である。
詳細は動画を見て下さい。
文字で説明するより、映像の方が分かりやすい。ちょっと長いけれど。
一応、野球のルールは知っていたので、ノーアウト満塁から2人の打者、1人の走者をアウトにする難しさは、子供ながらに理解できた。
何よりも、中年のおっさんのように下腹が出ているのに、不敵な面構えをしたピッチャーの気迫にうたれた。
孤独かつ豪胆。繊細かつ豪快。
野村克也元監督が褒めるのがよく分かる。(すいません、偉そうに言って)
近鉄バファローズは、2005年吸収合併され消滅した。
セ・リーグ、パ・リーグの両方12球団で、日本一を経験していないのは、近鉄バファローズだけである。
江夏が、近鉄バファローズの日本一を、永遠に阻止したのだ。