『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い』読後
久々につまらないのにセンスのある漫画を読んだ。
なんだろうこの切なさは。
『私モテ』読んだ後、衝動買いで、同作者の谷川ニコ『ちょく!』を大人買いしてしまった。(下のリンクに『ちょく!』の第0話があります。)
やはり、くだらないがセンスがある。
ひとつ頭を越えた馬鹿馬鹿しさ。ヒットする漫画家は他者と違いがあるのだ。
絵がうまいとかストーリーが巧みだとかは全くない。
しかし、味がある。
ちなみにこの谷川ニコは、原作者(谷川イッコ《男》)と作画《女》の2人組である。
主人公は黒木智子、コミュ障の女の子。
高校生になったが、異性にモテるどころか同級生と話もできない。
そんな彼女の学園生活を、これでもかと笑いものにして描く。
ところで、コミュ障とはコミニュケーション障害の略ではない。ネットのスラングで、大人になっても他人とコミニュケーションがうまく取れない症状らしい。
うーむ、ある意味自分もそうかも。いや、攻撃的なパラノイアに近いので、病気としては、もこっち(黒木智子のこと)より酷い。
普通部のこと
それはともかく、「普通部」のくだりは爽やかに感動してしまった。
作者の深淵が垣間見られた秀逸な部分。
「普通部」というのは、もこっちが発案した部活動である。
特に何かを活動するわけではない。皆がひとつの部室に集まるが、それぞれが好きなことをする。漫画を読んだり、ゲームをしたり等。
そして、部活動が終われば、皆で一緒に帰る。
帰り道「こんな時間が永遠に続けばいいな」とか思いながら。
もこっちはこっそりと部の活動を申請するが、却下される。
友達のいない作者の呻き声が聞こえてくるようだ。
激しく共感できる。
仲間とか絆とかを押し付けるのは、ほとんど暴力である。
特に、日本人の気質として(他の国でも同じかもしれないが日本では顕著)皆と一緒の行動をとらないだけで、変人であるかのように扱われることが多い。
確かに変人であることは否定できないが、それも性質なので仕方ないことだ。
人それぞれに「普通」がある。