あらすじ
実業家のリウは、貧乏な家庭に生まれ実力で成り上がった富豪である。
そのため、金儲けしか頭にない男であった。
彼は青羅湾を埋め立てて、環境を破壊してもテーマパークを開発するつもりだった。
けれども、青羅湾には人魚族の生き残り達が暮らしていた。
リウが設置した強力なソナーのために、青羅湾の廃船から外海へ出ていけなかったのだ。
人魚族は生存をかけて、リウの殺害を計画する。
油断させるためのハニートラップとして、シャンシャンが送られる。
ところが、2人はお互いに好意を持ってしまう。
『少林サッカー』のチャウ・シンチー監督だけあって、とてもベタなギャクが満載です。バカバカしく面白いのですが、後半はややシリアスな展開です。
ただし、リウがイルカが殺されている動画を見てショックを受けるシーンには、こちらがショックを受けてしまいました。
なんと、和歌山県太地町のイルカ追い込み漁の映像です。
どの国からも文句は言われる筋合いはないのですが、とりわけ中国人に言われたくない。日本人は食用として漁をしている訳で、環境破壊をしているのではありません。
しかしまあ、そんなことを差し引いても楽しい映画でした。
中国っぽさが全面に出ています。
普通は脚にするのでは?
人魚姫といえば魔法によって人魚のヒレを脚に変えてもらうのが定番です。
しかもアンデルセンの原作では、全裸で地上に現れます。
初めて読んだのは子供の頃でしたが、結構生生しい場面なので刺激的でした。
ヒレから脚に変身しなければ、性的魅力に欠けるのではと思うのですが。
もともと原作は、かなり艶っぽい話です。
アニメの『崖の上のポニョ』も、幼い子供が主人公なので子供向けのアニメとして通用しますが、あれが思春期の少年少女の話であれば、相当にエロくなるでしょう(宮崎駿が死ぬまでに作ってもらいたい気もします)。
その『崖の上のポニョ』ですら人型の女の子に変身しています。
ところが、やはり中国版は違うのです。
なんと女人魚のシャンシャンは、ヒレを大型ハサミで切られて、その上に靴を履いて地上に現れるのです。
イタタタ。 見ている方が痛い。
やはり纏足文化の国、中国
これは文化の違いがこのような描写をさせたと考えられます。
中国には纏足の文化がありました。
10世紀頃から19世紀の間、中国(漢民族)にあった習慣です。
女性は足が小さければ小さいほど美しいとされていたので、女の子は幼い頃に足を布できつく縛られ無理矢理に折り曲げて小足にされました。
もちろん、ひどい痛みがともないますが、そうしなければ結婚相手を見つけることも難しかったのです。
現代の中国では、纏足はありません。けれども、映画という作品から、文化の残り香をほのかに感じたような気がしました。