とうとう月にまで中国の手がのびてきました。
昆虫と植物を送って生態系を作るつもりです。
地球以外の宇宙空間には 一応、「宇宙条約」があります。
正式には、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約です。
1967年に国際連合において発行されました。
宇宙空間の探査・利用の自由
第1条で規定されている。天体を含む宇宙空間の探査および利用は「すべての国の利益のために」「国際法に従って」全人類が自由に行うことができる。
領有の禁止
第2条で規定。天体を含む宇宙空間に対しては、いずれの国家も領有権を主張することはできない。
平和利用の原則
第4条で規定。核兵器など大量破壊兵器を運ぶ物体(ミサイル衛星等)を地球を回る軌道に乗せたり、宇宙空間に配備してはならない。
また、月その他の天体はもっぱら平和目的のために利用され、軍事利用は一切禁止される。
文章としてありますが、憲法九条と同じで現実に意味はありません。
要するに、先に手をつけた者勝ちなのは、地球上も月面上も同じです。
月には地下資源と水があることがわかってきました。
また、引力が地球の1/6なので、月から宇宙船を打ち上げるのであればエネルギーが1/6で済みます。
月に自国の基地をおくことは現実的な国益につながるのです。
資源があるとわかると、日本の領土の尖閣諸島ですらあれほどの大船団を送ってきた国です。1月11日には潜水艦も通過しました。
月にはどのくらいの人を送るつもりなのか。
送れる人間は無尽蔵にいます。
中国人が月に行けばそこは、中華人民共和国月面自治区になるのでしょうか。
中国、年内に史上初の「月の裏側」着陸目指す:昆虫と植物を送って「生態系」確立も
2018年1月10日(水)17時15分
高森郁哉
中国は2018年中に、月の裏側へ無人探査機を送り込む計画を進めている。月の裏側への軟着陸が成功すれば、史上初の快挙となる。
また、このミッションでは昆虫と植物を収めたコンテナを月面に持ち込み、月面上で簡素な生態系を確立することも目指すという。人民日報オンライン版(人民網)、ユニバース・トゥデイなどが報じた。
月の裏側は「未踏の地」
中国は2003年から「嫦娥(じょうが)計画」と呼ぶ月探査計画を進めてきた(嫦娥とは、古代中国の神話に登場する月の女神の名前)。2013年12月の「嫦娥3号」ミッションでは、旧ソ連、米国に続き、探査機の月面軟着陸を成功させた第3の国となった。なお、地球の衛星である月は、自転周期と公転周期が同期しており、常に同じ面を地球に向けている(この状態は「潮汐固定」と呼ばれる)。地球から直接見えない月の半球、いわゆる「月の裏側」は、地上との通信が困難なことから、探査機が着陸したことはこれまで一度もない。
「嫦娥4号」ミッションの概要
こうした通信上の問題を克服するために、今年の「嫦娥4号」ミッションではまず、6月に長征5号ロケットで中継衛星を打ち上げ、月と地球の引力が釣り合う地点であるラグランジュ点(L2点)に衛星を投入。ラグランジュ点ではほぼすべての時間で月の裏側と地球を同時に観測できることから、地上の拠点と月面上の探査機の通信を中継することも可能になる。その約6カ月後、月面着陸船と月面探査車からなる嫦娥4号を打ち上げる。着陸地点は、月の裏側の南極付近に位置する、直径約2500kmの巨大なクレーター「南極エイトケン盆地」を予定。この盆地内で南極点に近いクレーター内部には、太陽光が当たることがない「永久影地域」があり、そこには氷が存在すると考えられている。
簡素な生態系の確立も目指す
同ミッションではまた、ジャガイモ、シロイヌナズナの種、カイコガ(蚕蛾)の卵を収めたアルミニウム合金製のコンテナも月面に送り込む。コンテナは、極端な高温や低温を防ぐための断熱材や、植物と昆虫の成育を促進する光源も備える。カイコガは卵からふ化して成長する過程で二酸化炭素を排出し、一方のジャガイモとシロイヌナズナは光合成を通じて酸素を放出する。
こうしてコンテナの中で簡素な生態系を確立することに成功すれば、将来的に他の惑星で動物の飼育や植物の栽培を行う拠点「エコ・ベース」の実現につながる貴重なデータが得られるのでは、と期待されている。
月の資源開発に不安視
日経新聞は宇宙開発推進派であると思ってきましたが、現実的な資源開発となると不安を示しています。
当然のことです。地球上の争いが宇宙にまで広がる。
月に眠る水資源の探査を進める計画だ。たしかに月面で水資源が見つかれば生物が生存できるし、分解すれば水素になりロケット燃料にもエネルギー源にもなる。宇宙空間と地球を自在に行き来できるようになる可能性がある。
ただそうなると新たな問題も浮上するだろう。月や小惑星には銀、銅、鉄など様々な資源が眠っているという。日米欧などが加盟し、宇宙の憲法とされる宇宙条約は国家による天体の領有を禁じているが、国内外で企業による資源探査の試みは加速している。
地球で繰り返されている資源獲得を起因とする衝突が宇宙でも再現される懸念は残る。宇宙開発にはそうした事態を回避する知恵や仕組みが求められるはずだが、人類は地球上の争いであってもまだそれを実現できていない。
月が私のふるさと 宇宙に広がる生存圏
ポスト平成の未来学 第3部 SFを現実に2018/1/11 2:00
今から116年前、フランス人映画監督のジョルジュ・メリエスは映画史に輝かしい名作を残した。天文学者らが銃弾に似たロケットで月へ探検に出かけ、月の住民と巡り合う――。ジュール・ヴェルヌ原作で、世界初のSF映画といわれる「月世界旅行」だ。ヴェルヌ、メリエスが描いた月への冒険が身近になる時代はそう遠くないかもしれない。人類の生存圏が宇宙、月に広がるのは現実味を帯びた未来になりつつある。
「消しまーす」。その一言で暗闇になった。カーテンからは日差しも漏れず、非常口の緑灯だけが見える。「太陽、付けまーす」の声でスポットライトに強い灯がともる。
「あぁ月面だ……」。僕(28)はつい声を漏らす。星条旗の横で宇宙飛行士が跳ねる半世紀前の映像が頭をよぎる。足元には大量の砂だ。探査機が走ると、無限軌道のわだちがくっきり残る。歩くと背後には長靴の跡。気分はまるで人類で初めて宇宙に降り立ったニール・アームストロング船長だ。
この月面空間は相模原市にある。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「宇宙探査フィールド」だ。「惑星で探査機の車輪がどう動くかを確認するためのものです」。施設の責任者の片山保宏主任研究開発員(47)が2017年5月に運用を始めたこの施設について話す。「月でも火星でもない星」と強調するが、記憶にある限りこの光景はテレビで見た月の表面に近い。
体育館のような施設の床一面に敷き詰められるのは月のものに組成が似た砂だ。全部で425トンあるという。そこを様々な探査機が縦横無尽に走る。もちろん空気も重力もあり、月に近いのは砂と暗闇、それに太陽に見立てたスポットライトだけ。ただそれだけだが、目から入る情報がここは月だと錯覚させる。
「宇宙は一発勝負。なるべく実環境に近づける」と片山氏。その言葉に背筋が冷たくなる。有人探査でもリハーサルなしの一発勝負だ。
もし宇宙に引っ越すことになったら……。かつてアフリカで生まれた人類が、世界に拡散していった人類最大の旅路を英国人考古学者ブライアン・フェイガンは「グレートジャーニー」と呼んだ。宇宙への移住はまさに未来のグレートジャーニーだ。
ただかつての人類と違い、まだ見ぬ環境に適した道具を作って準備できる。清水建設宇宙・ロボットグループの青木滋グループ長(52)は「月の砂」のボトルを手渡す。ふわりとした細かい砂だ。
人さし指を砂にうずめようとするも、うずまらない。ふわりとしているようで、第1関節くらいで指が止まる。「角張っている砂だから粒同士がかみ合うんです」と青木氏。地球の砂を基に土木建築用月面ロボットを開発すると、月面の砂に対応できない。そこで月の砂に似た形の砂を開発し、技術開発に役立てる。
そんな努力が実った2040年。僕が住むのは東京でも実家のある九州でもない。ここは月、「ムーンバレー」だ。1000人が住み、年間1万人が観光に訪れる。83歳になった父が先日、旅行にやってきた。「新聞配達先のテレビで見たアポロの月面はこんなやったんやな」。かつて世界が沸いた人類の一歩を、父がその足で踏みしめる。
「月は南極のようになってもおかしくないし、我々はそんな時代を作りたい」。17年12月、東京・銀座で開いた会見で月面探査を目指す民間企業、ispace(東京・港)の袴田武史社長(38)は、人が月に定住するムーンバレー構想を掲げた。
月に眠る水資源の探査を進める計画だ。たしかに月面で水資源が見つかれば生物が生存できるし、分解すれば水素になりロケット燃料にもエネルギー源にもなる。宇宙空間と地球を自在に行き来できるようになる可能性がある。
ただそうなると新たな問題も浮上するだろう。月や小惑星には銀、銅、鉄など様々な資源が眠っているという。日米欧などが加盟し、宇宙の憲法とされる宇宙条約は国家による天体の領有を禁じているが、国内外で企業による資源探査の試みは加速している。
地球で繰り返されている資源獲得を起因とする衝突が宇宙でも再現される懸念は残る。宇宙開発にはそうした事態を回避する知恵や仕組みが求められるはずだが、人類は地球上の争いであってもまだそれを実現できていない。
■月面探査は火星への足がかり
月を目指す動きが進むのは日本だけではない。むしろ世界は、有人探査でも無人探査でも日本の先を行っているといっても過言ではないだろう。しかし、人類の活動圏を宇宙に広げたとき、それに各国がどのような立場で参加する必要があるのか。
「米国人宇宙飛行士を再び月へ送る」。トランプ米大統領は2017年12月、ホワイトハウスでこうぶち上げ、米航空宇宙局(NASA)に有人月面探査を指示する文書に署名した。1969年に有人宇宙船「アポロ11号」が宇宙飛行士を月面に運んでから約半世紀。今回はアポロのように行くだけが目的ではない。次に人類が目指す火星への足がかりにしようというのが狙いだ。米国が宇宙政策の次の一手を打ってきたのには理由がある。地球の周りを回る国際宇宙ステーション(ISS)を25年以降、活用するのかどうするかが決まっていないのだ。ISSは米国やロシア、日本などが参加して建築した。1998年から建造を始め、2011年に完成した。24年までの活用後、宇宙飛行士が滞在するのかどうか、全くの白紙だ。
そこで米が提案するのが月の近くに建設する月版ISSの「深宇宙ゲートウェイ」だ。NASAはここを足がかりに30年代に火星へと人類を送る構想を練っている。ロシアはこれに協力する方針だ。
当初は米ソに比べて宇宙開発で後発だったが、近年大きく力を付けた中国やインドなどは独自の月探査計画を進めている。
中国はすでに日本の先を行き、13年に無人月探査機「嫦娥(じょうが)」3号を月面に軟着陸させた。さらに同4号でまだ誰も到達していない月の裏側への軟着陸を計画する。同5号では月の物質を地球に持ち帰るサンプルリターンを目指す。5号は18年中には打ち上げるとみられる。30年代には有人探査をする目標も掲げている。
インドも18年3月ごろまでに無人探査機「チャンドラヤーン」2号を打ち上げ、探査車を月面に着陸させる計画だ。
日本では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進める月面着陸機「SLIM」を20年度に打ち上げる計画だ。有人宇宙活動については、米国の計画に追従する形で継続を決めたが、宇宙飛行士は送らない構えだという。
人類は20世紀に入り相次いでロケットを打ち上げ宇宙を目指してきた。ソ連のガガーリンによる人類初宇宙飛行や米アポロ11号の月面着陸。こうした美しい冒険物語の裏には、冷戦期の軍事戦略がはっきりと透けて見えた。
もし環境破壊が進み、地球を捨てる日がきたら……。SFのような未来を本気で危惧した有人宇宙開発は、どこまで進んでいるのか。「人類の生存圏拡大」という目標は、各国の思惑が優先され揺らいでいるように見える。
(矢野摂士)