モスクワの「北朝鮮展」が大盛況です。
年配者は郷愁を感じるとか。
「91年にソビエトが崩壊してから、30年近くが経とうとしています。今の若いロシア人には、社会主義時代のソ連は遠い昔のことで、歴史の教科書の上の知識しかない。社会主義の実態を知るには、今も現在進行系で社会主義国である北朝鮮は、『社会見学』に行きたい場所なのです。
対して、年配者は、北朝鮮という国に懐かしい気持ちを抱いています。生活も落ち着いた人たちにとって、郷愁を感じさせる格好の旅行先というわけです。もちろん、その好意は、北朝鮮の政治が好ましいかどうかとか、独裁を敷く指導者の是非とは別のところにあります」
ロシア人が「北朝鮮展」を懐かしく感じるのはあたりまえです。
ロシア人が作り上げた人造国家ソビエト連邦の劣化コピーが北朝鮮人民共和国なのですから。
73年前のロシアの光景が、化石のように北朝鮮には残っています。
プロパガンダ用のポスターはタッチがそっくりです。
上がソビエト連邦、下が北朝鮮
北朝鮮と金日成の成り立ち
太平洋戦争後、南の韓国はアメリカが主導して支援しました。そして北朝鮮はソビエト連邦がバックアップしたのです。
その際、日本の教育を受けた人間はほとんど粛清されました。
初代トップの金日成は、ソビエトの自国内で教育され北へ送り込まれた人物です。
有り体にいうと北朝鮮はソビエトの工作員が作った国なのです。
現在この瞬間まで続いている朝鮮戦争は、金日成がソビエトから戦車や自走砲など武器の援助を受け、中国から南侵の際には援軍を送ることを約束されたからこそ始められた侵略戦争です。
ただし、ソビエト連邦(現ロシア)と中華人民共和国の両国とも北朝鮮にはうんざりしているのは確かです。
まさか核兵器やミサイルまで持つようになるとは思わなかったでしょう。
そしてそれを盾にして対等の国として扱うように要求しているのです。
作り上げ、援助してやった相手から偉そうにされることは耐え難い屈辱です。
そんな侮辱的な要求に応えるのは韓国ぐらいです。
ただし、北朝鮮が崩壊した後は、ロシアと中国が共同で統治しなければ収まりがつきません。
これはあの半島のパワーバランスを考えた場合、どうしても行き着く結論です。