中国のITテクノロジー企業が、エイプリルフール用の企画を発表していました。
- テンセント:AIを活用した「カモの育成施設」を設立。カモの顔認証を行って育成状況を把握する。カモの言葉もAIで解析し中国語に翻訳。
- シャオミ:「スマート・ポストイット」を開発。身の回りの物に貼り付けるだけでネットに接続し、その物体同士をネットでつなげる。
- アント・フィナンシャル:「Block 7」と呼ばれるスプレーを開発。スプレーを車に吹き付けると、車両の走行データがすべてブロックチェーンに記録される。
- JD.com:若い男性の利用に特化した、スマートグラスを開発。着用すると、デートの際に女性の表情から感情が読み取れるようになる。また、女性が着ている服や化粧品のブランドや価格がその場で分かる。
あまり笑えません。中国社会の実情を知っている者としては。
テンセントの「カモの育成施設」ぐらいは、一応エイプリルフールジョークになっています。
しかし、それ以外は監視社会のツールとして、中国共産党が本当に開発しそうなものばかりです。
すでに、個人情報が一瞬にして解析されるスマートグラス(顔認証グラス)は、現場で運用されています。
「顔認証グラス」は中国共産党のデータベースにアクセスすることで、どんな人間(人種、性別、住所、思想傾向)なのか即座に判別できる。
さらに、現実の中国では人民の監視のため、声紋・顔・瞳の光彩・指紋・DNAなどのデータはすでに収集されて、監視対象になっています。
共産党当局は、「犯罪者を摘発するため」との大義名分をあげていますが、本当の目的は、共産党に対する批判者たちをあぶりだすためにハイテク技術とビッグデータを利用しているのです。
エイプリルフール企画がほとんど現実化している監視社会では、ジョークとして笑いとばすことができません。
2018/04/06 07:00
中国テック界のエイプリルフール、大手4社の面白ネタ米国のテクノロジー業界では毎年4月1日に、手の込んだエイプリルフール企画で笑いをとるのが恒例となっている。今年は通信キャリア大手の「Tモバイル」が“世界初のスマート・シューズ・フォン”を発表したほか、自動車業界では「レクサス」が遺伝子検査企業と提携し、唾液から顧客の好みに完全に一致するクルマを分析し、48時間以内に納車するという企画を発表した。
近年目覚ましい発展を遂げる中国のテック企業らも、各社が趣向を凝らしたエイプリルフール企画を打ち出した。
テンセントは4月1日、AI(人工知能)テクノロジーをフル投入した「カモの育成施設」を、アップルがiCloudの拠点を置く貴州省に設立すると宣言した。同社は顔認識技術を用い個々のカモの顔を識別し、生育状況を把握。さらに、カモの言葉をディープラーニングで解析し、リアルタイムで中国語に翻訳するなどの試みを行っていくという。
「カモの顔を認識するのは人間と比べると難しいが、美容整形手術を受けているケースは少ないので、その点ではまだ楽だ」とテンセントは声明で述べた。
スマホ業界ではシャオミが「スマート・ポストイット」を発表した。これはネット接続機能を持つ特殊な付箋(ふせん)で、身の回りの物に貼り付けるだけで、その物体同士をネットでつなげるようになるもの。北京の清華大学の教授の協力を得て開発したというこの商品は「本当に実現できたらとっても便利」と現地のネットメディアで話題になった。
このところブロックチェーン技術に注力するアリババ傘下の「アント・フィナンシャル」は「Block 7」と呼ばれるスプレーを発表した。このスプレーを車に吹き付けると、車両の走行データが全てデジタル化されてブロックチェーンに記録されるようになる。
万が一、事故に遭遇した場合も周囲の状況や走行状況を完璧に記録できるため、相手から不当な賠償請求を受けることを防止できるという。
Eコマース分野でアリババに次いで2位の「JD.com」は若い男性の利用に特化した、AR(拡張現実)スマートグラスを発表した。このスマートグラスを着用すると、デートの際に女性の表情から感情が読み取れるようになる。また、女性が着ている服や化粧品のブランドや価格がその場で分かる。
さらに、デート中に女性が通行人を指差して「あのスカーフ、可愛い」などと言った場合には、瞬時にそのブランドを検索しJD.comのサイトから購入できるという。
編集=上田裕資
監視社会
中国当局、声紋データベースを構築 市民監視に乱用の懸念
2018年04月06日 07時00分
中国当局は、ヒトそれぞれが持つ声の特徴「声紋」のデータベースを構築するため、スピーカーから収集できる音声機能と識別情報を繋ぐ「声紋認識システム」の導入を決定した。中国国営・新華社通信によれば、当局に収集される人々の声紋データは、身元証明、医療、教育、金融サービス、交通、観光で使用される。
報道によると、この声紋認識システムは、すでに貴州省の一部地域ですでに導入されている。清華大学情報技術研究所と北京のテクノロジー企業・得意音通技術(Dear Ear Technology)が共同開発したという。
同社によると、声紋認証は、他の個人認証方法よりもパスワードを忘れたりする心配もなく、簡単で使いやすいとアピールしている。また、なりすまし詐欺なども抑制できるとした。
いっぽう、このハイテク技術が、体制維持のために国民の言動を厳しく監視する共産党当局が管理することに、懸念する声が上がる。
元陜西省のテレビディレクターで人権活動家の馬小明(音訳)氏は「共産党は、高度な科学技術が開発されれば、これを人々の監視のために積極的に利用する」、「一つ新技術が誕生しても、まだ多額の資金を投じて専門部隊を設ける。最新機能を生み出す努力を惜しまない」と述べた。
共産党政権において、ハイテクと監視は切っても切れない関係にある。ネット情報統制システム「金盾(グレートファイアウォール)」は早くも1998年に実施。海外と自由にユーザ間で交流できるはずのネット交流空間を「鎖国」にした。国内では共産党の宣伝が流れるよう扇動する、ネット書き込みバイト「5毛党」を大量に雇った。2014年には、インターネット上のコンテンツを監視し検閲する国家機関「サイバースペース事務室」を創設した。
大紀元の取材に応えた中国政治評論家・横河氏は、これまでの中国共産党政権はネット検閲や情報統制に1000億元(約1.7兆円)以上は費やしていると推計した。
市民を監視するために、当局は、AIを駆使して声紋のほか、顔、瞳の光彩、指紋、DNAなどのデータを収集し、監視している。中国の認知科学者ウェイン・ヤン氏は、2017年10月に大紀元に次のように語った。「監視システムがあれば、ある場所で気軽に話すことはできないだろう。もしあなたが機密や禁止扱いの言葉を発すれば、すぐさま当局が身元を特定し、捕えるだろう。(共産党政権化の中国において)人々のプライベート空間は酷く狭いのだ」
(編集・佐渡道世)