イランについて 米国とイスラエルがイランの核保有を恐れる訳

米国・トランプ大統領が、イランとの核合意離脱を決定しました。

核合意で制限された核開発以外の、

  • 弾道ミサイル開発
  • ミサイルや関連技術の拡散
  • テロ支援
  • シリアやイエメンの内戦を悪化させる暴力的活動

なども制限するためです。

 

トランプ大統領は、世界中から非難されています。

良識派をよそおうために非難している側面もあります。

しかし、今回の決定はそれほど非常識ではありません。これを非常識とするならば、日本は北朝鮮に何も言えないことになります。

 

ところで日本人の疑問として、米国やイスラエルが、イランの核開発を何故あれほどに恐れるのでしょうか?

あの国を動かしているのは、イスラム教の原理主義者だからです。

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ちなみに、イスラム教の唯一神は“アッラー”、ユダヤ教の唯一神は“ヤハウェ”と呼ばれていますが、この神は同一の唯一神です(「唯一」神なので、当然同一の神)。

 

イランの政権(軍隊を含む全て)は、イスラム教シーア派原理主義者がにぎっています。

原理主義者は「イスラエルを核攻撃した場合、自国が報復として核攻撃されるかもしれない。しかし、わが国は“アッラー”が守ってくださるので大丈夫である」と本気で信じ込んでいます。

また、そう思い込んでいるからこそ原理主義者と呼ばれる。

 

イスラエルも核を保有しています。

しかし、さすがに彼らは「核を撃ち込まれても“ヤハウェ”がなんとかしてくれる」とは判断していません(そう思い込んでいるユダヤ人はいるかも知れませんが、少なくとも政権を動かしていません)。

 

日本人から見ると、「米国もイスラエルも核を保有している。それなのに、イランの核だけを目の敵にするのは平等ではないのでは」と判断しがちです。

これは宗教の原理主義者の思考パターンを知らない人間の言い分です。

 

米国とイスラエルが、何が何でも(開発に関わる学者を殺害してでも、先制攻撃で原子炉を爆撃しても)イランの核開発を阻止しようとするのは、北朝鮮のように交渉手段として核をちらつかせるだけではない、真剣に核攻撃をしかけてくる相手であることを知っているからなのです(自分たちも原理主義者に近いのでイランの心理が理解できる)。

実は日本人も“原理主義者”

日本人は、こんな原理主義的な宗教観に触れると、

「愚かすぎる。宗教とは恐ろしいものだ」などと、さも良識派のようにとらえがちです。

しかし、実は日本人も強固な原理主義者なのです。

 

「憲法九条を守れば、日本は平和である」と思い込んでいる人が大勢います。

しかも、学歴があり科学的な教育を受けた、相当に賢い人達がそう主張しています。

 

核兵器を持った隣国から、ミサイルを領海内に何度も撃ち込まれ、大勢の同胞が拉致されても、

「憲法九条を変えれば、戦争になる。絶対に変えてはならない」とはっきり発言しています。

 

これを作家の井沢元彦は“言霊教”と名付けています。

「言葉に出せばそれが現実になる」のが“言霊教”の教義です。

つまり、「日本は戦争しないと憲法に書いてあるので、ミサイル攻撃されても戦争にならない」と信じ込み、恥ずかしげもなく堂々と主張している。

 

日本以外の国でこんな発言をすれば、「頭がおかしい」「異常な原理主義者だ」とみなされ相手にされないでしょう。

しかし、日本のマスコミはもちろん、国民もなんとなく容認しています。

日本国民のほとんどは“言霊教”の信者であるため、なんとなく信じられる。

これが“言霊原理主義”です。

日本も言霊教原理主義国家なのです。イランのことは言えません。

www.sankei.com

2018.5.20 01:24

米、ミサイル拡散防止含む「新たな枠組み」目指す 国務省局長が電話会見

 【ワシントン=加納宏幸】米国務省のフック政策企画局長は18日、電話での記者会見で、米国がイラン核合意から離脱を表明したことを受け「必要とされる全ての圧力でイランに行動を変えさせ、われわれの懸念を解決する新たな枠組みを追求する」と述べ、同盟国との「連合」で圧力を強化することを強調した。

 

 「新たな枠組み」は核合意で制限された核開発に加えて、弾道ミサイル開発、ミサイルや関連技術の拡散、テロ支援、シリアやイエメンの内戦を悪化させる暴力的活動など「イランの脅威全体」に取り組む内容。核合意当事国で米国の同盟国である英仏独は合意維持を主張し、米欧間の亀裂が広がっているが、フック氏はこうした指摘を誇張だとし、「安全保障上の共通課題は核合意に関する相違を超越する」と楽観的な見通しを示した。核合意で解除された制裁が再開される8、11両月をめどに協議を進める考えだ。

 

 米中東和平特使を務めたマーティン・インディク元駐イスラエル大使は17日のシンポジウムで、トランプ政権の狙いを「イランの体制転換ではなく、トランプ氏が北朝鮮で成功したとみる『最大限の圧力』モデルでより良い合意を得ることにある」と分析した。