肉食獣が草食動物を襲う場合、集団を襲うことはまずありません。
草食動物であっても、集団であたれば十分対抗できるからです。
肉食獣はわざわざ強力な集団を襲うリスクはおかさない。
ではどうするか。
群れから孤立した一匹を襲うのです。
落ちぶれた大英帝国、肉食獣(ロシア)に襲われる
かつての大英帝国は世界中に植民地を持ち、支配下においていました。
「七つの海にユニオンジャック(英国の国旗)の翻ざることなし」
とまで言われていたのです。米国などは明らかな格下国でした。
当時の英国は肉食獣そのものでした。けれども、第二次世界大戦後以降は、すっかりおとなしくなりその荒々しさを失ったのです。
しかし、ロシアはかつても今も肉食獣そのものです。これからも当分の間は変わりません。
ロシアは軍事力として核兵器とミサイルを保持した強力な国家です。なおかつプーチン大統領のような独裁的で豪腕な指導者もいる。
GDPは世界12位。11位の韓国や9位のイタリアより下位なのに、存在感は1位の米国に次ぐでしょう。
荒々しさを失った英国は、ロシアから化学兵器による攻撃を受けています。
(今日のプーチンさん21 強く報復してこない国には、何でもやり放題 )
ロシアからの亡命者が次々に殺害されている。
- 2006年 リトビネンコ氏暗殺。放射性物質ポロニウム210によるもの。
- 2013年 ベレゾフスキー氏暗殺。ロンドン郊外の自宅の浴室で首つり遺体で発見された。
- 2018年3月4日 スクリパル氏とその娘が神経剤ノビチョクにより暗殺未遂。未だに意識不明。
- 2018年3月12日 グルシュコフ氏暗殺。遺体に「首絞の跡」があり、自宅で不審死。
この12年間に、ロシアからの反プーチン亡命者が5人も暗殺または暗殺未遂されているのです。
しかも、殺害に使用された「放射性物質ポロニウム210」と「神経剤ノビチョク」はロシア製であることがはっきりしています。
わざと「裏切り者には死を」がロシアの常識であると表明しているのです。
一国の政府が他国内で作為的に化学兵器を使用する。第二次世界大戦以前、いや現在でも、宣戦布告と同じ行為です。大英帝国ならば、ためらわずに戦争を始めていたでしょう。
英国のEU離脱も原因として大きい
また、英国がEUから離脱したことも大きな原因です。
「群れから孤立した一匹」が真っ先に襲われた。
英国での欧州連合離脱是非を問う国民投票は、次の経緯で行われました。
- 2004年 当時の首相トニー・ブレアは、「欧州憲法の批准のための国民投票を開く」と述べた。
- 2010年 総選挙で保守党が政権に返り咲く。その翌年に、EU離脱を問う国民投票を求める署名が政府に提出される。
- 2013年 キャメロン首相が2015年の総選挙のマニフェストとして、イギリスとEUとの関係について再交渉しEUを離脱するかどうかの選択肢を2017年末までにイギリス国民に与えると発表。
- 2016年2月20日、キャメロン首相が同年6月23日にEU残留を問う国民投票を実施すると発表。
- 2016年2月23日 英国の人口の52%がEUを離れることに賛成票を投じた。
- 2018年3月29日 1年後、EU離脱が決定。
ロシアが英国に対するテロ行為を行っていた時期とほとんど重なります。またさらに大胆になっています。
弱みを見せればつけこまれる。
国際社会の法則は自然界と変わりないのです。