米国 『大草原の小さな家』、人種差別本と認定される

米国のリベラル派は、文学作品の検閲まで始めたようです。

『大草原の小さな家』(ローラ・インガルス・ワイルダー著)も人種差別的な表現があるため、児童文学としてふさわしくないと決定しました。

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ローラ・インガルス・ワイルダー

日本でもNHKがドラマ放送をしていたので、よく知られている作品です。

ローラは1867年生まれであり、半自伝的な物語として『大草原の小さな家』を著しました。開拓者家族を描いています。

作品には現在では人種差別とされている表現があるそうなのですが、時代が違うので当然のことです。

しかし、米国図書館協会の児童サービス部会(ALSC)は、

「ワイルダーの作品が児童文学の歴史上、大きな存在で、現在も読まれていることを認識している」とした上で、このシリーズが「多くの読者を深く傷つけてきたことも認識している」

と判断して、ローラ・インガルス・ワイルダーの名前を児童文学賞の名称から外すと発表しました。

極端な国、米国

米国は極端な国です。

侵略を国の基本としてできあがった国なのに、否定しようとする。

それを否定すれば先祖と自らの否定になります。

大混乱になるでしょう(すでになっていますが)。

 

現在の常識だけで過去を評価するのは明らかにやりすぎです。

ポリティカル・コレクトネスが暴走し、自分たちや父祖が否定されると感じたアメリカ人が、トランプ大統領を誕生させたのです。

(ポリティカル・コレクトネスとは - コトバンク)

 

現在の常識がすべて正しいとの理屈が文学や芸術作品に適用されるならば、古典や宗教は100%消し去る必要があります。

まるでジョージ・オーウェルの作品『1984』に登場する“真理省”のように。

(『1984』では、“真理省”と呼ばれる役所が存在し、主人公は過去の記録や文学の改ざんを毎日行っている。)

 

もし、“真理省”の如きリベラル派の暴走が続けば、過去の記録がすべて書き換えられてしまうでしょう。

  • シェイクスピアもだめ。『ベニスの商人』を読めばユダヤ人差別や迫害も正当化されます。
  • マルチン・ルターもだめ。著書『ユダヤ人と彼らの嘘について』の中で「ユダヤ人はぶっ殺すか奴隷にしろ。そしてその財産をとりあげろ」とナチスと同じ主張をしていました。ちなみに、ルターが主導して起こしたキリスト教の新しい宗派プロテスタントは世界中に3.5億人の信者がいます。
  • 釈迦もだめ。「女は汚らしくて臭い。嫉妬深く欲深い」などと女性を罵っています。当然仏教もだめになります。

「読者を深く傷つけ」るのが理由ならば、過去の書物や古典は何もかもだめです。

 

米国のリベラルな連中は、自分たちが人類史の中で一番進化しているとでも思っているかのようです。

検閲する権利があると信じている。

傲慢極まりない態度です。

日本のリベラル派と呼ばれる連中も、米国のマネをして過去の常識を糾弾するべく行動しているので要注意です。

 

しかし、後20年もすれば、このリベラル派も「古典を理解しようとしない愚か者」として批判され弾劾される側になるのです。

過去の大統領も人種差別者だらけ

もし、米国史の中でインディアンを差別した表現があったことで非難されるのなら、リンカーン大統領はまっさきに弾劾される事になるでしょう。

黒人奴隷は一応「解放」しましたが、インディアンに対しては皆殺しの命令を出しています。

 

初代大統領とされるジョージ・ワシントンも同じくです。

彼は黒人奴隷を所有していました。そして歯の病気のため総入歯だったのですが、入歯を作るために黒人奴隷の歯を引っこ抜いて使用していました。

また、インディアンに対しては「猛獣」と呼んで人間扱いをせずに、絶滅命令を出しています。

www.bbc.com

「大草原の小さな家」作者の名前、米文学賞から外され 人種差別で
2018年06月26日

米国図書館協会の児童サービス部会(ALSC)は25日、児童書でテレビドラマ化もされた「大草原の小さな家」シリーズの作者、ローラ・インガルス・ワイルダーの名前を児童文学賞の名称から外すと発表した。ALSCは「作品の中に反先住民、反黒人の感情が含まれている」ことを理由に挙げた。

 

ALSCは23日に開かれた理事会で、「ローラ・インガルス・ワイルダー賞」を「児童文学遺産賞」に変更することを全会一致で決定した。

 

ALSCは、ワイルダーの小説や「ステレオタイプ的な態度を示す表現」が「ALSCの中核をなす価値観にそぐわない」と述べた。

 

米国の西部開拓時代の生活を描いたワイルダーの作品は、米先住民や有色人種を非人間的に描く表現が使われていると批判されてきた。


「大草原の小さな家」では、たとえば冒頭の章で、土地のことを「人間は誰もいない。インディアンしか住んでいない」と書かれた箇所が特に懸念されている。

 

米紙ワシントン・ポストによると、出版社ハーパースは1953年に、問題の部分の「人間」を「開拓者」に変更した。

 

しかしそれでも、ワイルダーの時代の白人米国人に典型的な人種差別的な決め付けや態度が、物語に出てくることが問題視され続けてきた。

 

たとえば、登場人物が「死んでいるインディアンだけが、良いインディアンだ」と発言するほか、アフリカ系米国人が「黒んぼ」と表現されている。

 

愛読者の間には、作品は当時の状況を知る上で貴重で、子供の教育のために使われるべきだという意見もある。

 

ALSCの理事会は書簡で、これは大勢がそれぞれに深い思い入れや意見を抱く「複雑」な問題だと指摘した。

 

理事会は、「ワイルダーの作品が児童文学の歴史上、大きな存在で、現在も読まれていることを認識している」とした上で、このシリーズが「多くの読者を深く傷つけてきたことも認識している」と述べた。


1867年生まれのワイルダーが執筆した自伝的な小説「大草原の小さな家」のシリーズは、1932年から43年にかけて出版された。

 

作品はテレビドラマ化され、1974年から83年にかけて放映された。

 

「ローラ・インガルス・ワイルダー賞」の受賞者には、作家のE・B・ホワイトや絵本作家のドクター・スースなどが名を連ねている。

 

文学賞からワイルダーの名前を外すという決定の背景には、人種差別的な言動で知られる歴史的人物の文化的な評価を見直す米国での動きがある。

 

南北戦争時代の南部連合の記念碑を撤去する動きについては、米国の歴史や南部の文化をゆがめるものだという反発もある。

 

黒人をはじめとする人種的少数者は、南部連合の象徴が公の場に置かれているのは侮辱的だと受け止めている。

(英語記事 Laura Ingalls Wilder removed from book award over racist language)