「室井佑月ってやつは」自衛隊や徴兵制について無知すぎる

西日本豪雨後の映像が毎日流されています。

 

泥だらけになった家から泥を出し洗い流すのは、ある意味地震災害より悲惨です。

また、ガレキや大型ゴミの撤去も延々と続いています。

そしてこの酷暑。35℃を超える高温の中でも作業は続けなくてならない。

想像しただけでめまいがします。

 

ボランティア、警察、消防、役所関係者、医療関係者、そして自衛隊員。

これらの人々の働きには驚くべきものがあります。

ひたすら黙々と任務を遂行する人々は称賛されるべきです。

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泥水で顔を洗う自衛隊員

5年前の週刊朝日に、室井佑月が徴兵制について「この恐ろしい制度」などと表現していました。

 

そして息子が自衛隊に徴兵されたら不安であると、次のように発言しています。

厭(いや)な予感がする。あたしには息子がいるが、そんな恐ろしい出来事に巻き込まれるため産んだんじゃない。

今、酷暑の被災地で作業を続けている自衛隊員は、熱中症などによる命の危険にさらされてもなお任務を遂行しています(室井佑月風に言えば恐ろしい出来事に巻き込まれている)。

 

それでも彼らは義務を果たしています。

誰かが命がけで義務を果たしていてくれるからこそ、私たち国民が安全に暮らすことが可能なのです。

 

室井佑月が理解していないのは、戦争も災害も同じであることです。

そして、それらと戦うには強靭な身体と精神力、装備をあつかう頭脳と技術が必要になります。

 

お前の息子に、あの炎天下の被災地で作業する根性があるのか。

それができない人間は徴兵もされません(昔風の言い方で表現すれば、丙種合格です)。

また、自衛隊の装備はハイテクであり、訓練していない素人があつかえるほど簡単ではない。

 

被災地や戦争では、素人は邪魔になるだけなのです。

訓練された隊員だからこそ、あの過酷な環境で働ける。

 

徴兵制が怖いなどと発言するのは、モテない奴が「あの人と付き合うことになったら何を着ていこう」と悩むぐらい無意味なことです。

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「嫌がらせをする普通の人が怖い」 室井佑月が憂う未来とは
連載「しがみつく女」

2013.8.1 11:30週刊朝日#原発#室井佑月

 作家の室井佑月氏が自民党・石破茂幹事長の「国防軍」に関する発言、福島第一原発の作業員の甲状腺被曝について、このように持論を展開する。

*  *  *
 7月16日付の東京新聞の記事にびっくりした。【平和憲法に真っ向背反】という見出しの記事で、自民党の石破茂幹事長が4月にテレビに出たときの発言について書かれてあった。自民党は改憲草案で、憲法9条を変更し、自衛隊を「国防軍」にしたいといっている。そして国防軍には、「軍事裁判所的なものを創設する規定がある」というのだ。現在の自衛隊で隊員が上官に従わない場合の、自衛隊法の最高懲役7年では甘すぎるからだとか。

 

「『これは国家の独立を守るためだ。出動せよ』と言われたときに、いや行くと死ぬかもしれないし、行きたくないなと思う人がいないという保証はどこにもない。だから(国防軍になったときに)それに従えと。それに従わなければ、国における最高刑に死刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役300年なら300年。そんな目に遭うぐらいなら、出動命令に従おうっていう。人を信じないのかと言われるけれど、やっぱり人間性の本質から目を背けちゃいけない」(石破氏談)

 

 国防軍の隊員をそうしたいって話だよね。でも、この国の政治家には「徴兵制を!」と声高にいっている者もいる。そうなったら、この恐ろしい制度がどう関係してくるんだろう。

 

 19日付の朝日新聞には、福島第一原発の作業員で、がんが増えるとされている100ミリシーベルト以上の甲状腺被曝をした人が、去年12月の公表人数より10倍以上多い2千人に増えたとの記事があった。

 

 福島第一原発の収束にはまだまだかかるわけで、そうなると、そこで働く人間の数が必要になる。専門職の人たちが軒並みいなくなると不味(まず)いから、その下で働くのは国に集められた普通の人にならないか。

 

 憲法が改正され、海外の戦地へ日本が軍を出すようになったとしでも、同じことがいえる。日本にいて国を守る専門家(自衛隊? 国防軍?)も必要なわけで、海外の戦地へ行かせるのは半分専門家で半分徴兵制で集めた人になったりするんじゃないか。

 

 厭(いや)な予感がする。あたしには息子がいるが、そんな恐ろしい出来事に巻き込まれるため産んだんじゃない。けれど、この国で生きている以上、力ある者の恐ろしい考えに、巻き込まれ流されてゆく集団心理には負ける。選挙の投票所入場整理券みたいに、愛する息子に徴兵制の誘いの封筒が送られてくるようなことがあったとして、「行くな! おまえをそんな場所に送るために、あたしは産んで育てたわけじゃない」。そう正直に発言したら、あたしたち親子に嫌がらせや危害を加えるのは、普通の人でありそうなところが、じつはもっとも怖い。ほんとうは一緒に、自らの立場を嘆くはずの人たちが簡単に洗脳される。石破さんじゃないけど、人を信じないのか、といわれても、その部分は信用できない。人間性の本質ってことで。

※週刊朝日  2013年8月9日号

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中。