こんな猛暑の中、高校球児たちは試合をしています。
心ある人からは、
「熱中症で死人がでたら誰が責任をとるのか」
「涼しいドーム(関西なら京セラドーム)で行えばいいのでは」
「朝日新聞は子どもを真夏の炎天下で野球をさせて商売している」
などと批判されています。
それぞれの批判は、確かに正論です。
しかし、今や宗教行事と化している夏の(甲子園での)高校野球をやめて、ただ勝敗を決するだけのスポーツにしてしまえば、その代わりになる行事が必要となります。
日本人は、たとえ勝負に負けても必死で戦う姿勢、つまり悲壮美が大好きな国民なのですから。
それ故に、先の戦争で特攻隊を生んだのです。
それはさておき、元巨人軍・元ヤンキースの松井秀喜が今回の始球式を努めていました。
元プロにもかかわらず、ワンバウンドしたため、投球後に頭をかかえ
「甲子園の魔物に襲われた。ど真ん中にいく予定だったけど」と苦笑い。それでも「今の自分の力いっぱいの投球」
と語っていました。
もし自分が松井の立場なら
「今のは「敬遠」ですよ、「敬遠」」
などとブラックジョークをとばして、猛暑の甲子園を凍りつかせたのに。
26年前の星稜―明徳義塾戦、松井は星稜高校の4番打者であり、すでにプロ選手並みの実力でした。
明徳義塾の監督は、松井とまともに勝負しても打たれるだけと判断し、すべて敬遠する策に出たのです。
結果試合は勝利したのですが、甲子園の観客から罵声をあびて校歌も聞こえない状態でした。
明徳義塾の選手はルールを守って、必死に戦ったのにあまりにも理不尽な仕打ちです。
ただ、当時の松井選手の態度は立派で、ふてくされることもなく、真剣に全打席に立って構えていたのが記憶に残っています。
今回の始球式でのコメントもそうですが、「松井秀喜はホンマにええ人やな」とつくづく感じさせられました。
松井秀喜さん「甲子園の魔物に襲われた」始球式ワンバン
松田光2018年8月5日14時42分
5日に開幕した第100回全国高校野球選手権記念大会。開幕試合となる藤蔭(大分)―星稜(石川)に先立ち、星稜OBで元大リーグ・ヤンキースの松井秀喜さん(44)が始球式に登場した。右腕から放たれた白球は、ワンバウンドしたものの勢いよくミットに収まった。投球後に頭を抱えた松井さんは「甲子園の魔物に襲われた。ど真ん中にいく予定だったけど」と苦笑い。それでも「今の自分の力いっぱいの投球」と話した。
星稜が後攻だったため、後輩の山瀬慎之助選手のミットめがけて投げたが、ワンバウンドに。観客からは大きな歓声と拍手が湧き起こった。開幕カードが星稜と決まり、驚いたという松井さん。「(星稜の)黄色いユニホームを見たら力が入った」と話した。
星稜の林和成監督は2年の夏に遊撃手として一緒に甲子園に出場。始球式を務めた松井さんに白星を届けた。試合後、「このグラウンドで(松井さんと)三遊間を組んでいたと思うと感慨深い。力むなと言っていた人が(始球式で)一番力んでいた」と話した。
100回大会を記念し、過去夏の甲子園で活躍した元球児による「甲子園レジェンド始球式」の1人目。6日は和歌山・箕島の石井毅(現姓名・木村竹志)さんがマウンドに立つ。(松田光)