1989年に起こった天安門事件は、今年の6月4日で30年になります。
この事件では民主化を求める学生たちを、中国共産党の私軍である人民解放軍が戦車で轢き殺し、銃撃した虐殺事件です。
学生側の死者は数千人ともいわれています。
もちろん、中国国内では「天安門事件」などと検索しても何も出てきません。
それどころか、検索したことがわかった時点で当局に逮捕される恐れもあります。
今回、ドイツのカメラ会社であるライカ(Leica)が共産党の検閲を受けてプロモーション動画がネット上から消される事態が起きました。
Leica The Hunt censored spot in China
天安門事件の「タンクマン(戦車を人が丸腰で止めている画像)」がカメラのレンズに写っていることが問題になったらしい。
それだけなら、検閲がけしからんと批判できるのですが、なんとライカ広報が「このプロモ動画はライカが正式に認めていない」などと発表しているのです。
中国に進出している会社は、検閲を認めるしかないのでしょうか。
事実や人権より金儲けが優先されたのです。
ドイツ人、情けないぞ。
ホロコーストを実行したナチスは責め続けても、現在進行形の虐殺者は見て見ぬふりですか。
中国のSNSで「ライカ」とつぶやけなくなる異常事態発生
問題の動画も全世界で削除
天安門事件から6月4日で30年。
これに合わせて今月公開されたLeica(ライカ)のプロモ動画が中国の逆鱗に触れ、Weiboをはじめ大手SNSから「ライカ」という単語そのものが消される一斉BANの異常事態に発展中です。
天安門事件の写真が逆鱗に触れる
動画は『The Hunt』というタイトルで、世界中の報道カメラマンの苦労を再現ドラマ風に5分で描いたもの。南果早報によると、製作したのはブラジルの広告代理店F/Nazca Saatchi & Saatchiで、Leicaの広告製作実績のある会社なのですが、Leicaは「正式に許可したものではない」と説明に躍起。YouTubeやVimeoの公式動画は瞬く間に地上から消えました。
残っているのは非公式の転載だけです。ご覧のように「天安門」という文字はどこにも出てきません。冒頭では、野生の獣をカメラで待ち伏せるハンターが写っていて、画面が切り替わって「1989年・北京」という文字とともに上がる銃声と叫び、現場を駆け回る報道カメラマン、カメラを没収する役人。また画面が切り替わって、別の戦闘地域でカメラを没収するイカれた感じの軍人。中東戦闘地域。戦火。
「We hunt. We chase. We fight. We risk it all. 」というフォトグラファーの声。最後には荒らされた部屋からLeicaのカメラを掴んで、あらゆるリスクを冒して窓に向かいます。構えるそのレンズには、天安門事件を象徴する写真「タンクマン(戦車男、無名の反逆者)」が薄っすらと映っている…という、現実と虚構がない混ぜになったイメージ動画です。
Leicaのプロモなのに、Leicaが認めたものじゃない
中国ネット民の反感を買ったことについて、Leica広報のEmily Andersonさんは次のように南果早報に述べています。
動画は正式な許可を経たものではなく、映像に描かれたコンテンツはLeica Camera AGと軌を一にするものではありません。誤解と混乱を招きましたことを深くお詫び申し上げます。
LeicaはカメラだけでなくHuawei(ファーウェイ)スマホのレンズでも中国に参入していますしね…。Huawei副会長が北米で逮捕されて以来、中国では米中摩擦で米国にムカついた国民がHuaweiのサポーターと化しています。Huaweiスマホを持ってるだけで割引がもらえる店とかもあったり、今や中国ラブの象徴みたいなことになっているので、Leica社の公式アカウントには「Huaweiから仕事もらう資格ない」と怒りのコメントが殺到中なのだとか。
米国も1月には正式に「企業秘密の窃取、通信詐欺、司法妨害」容疑でHuaweiを提訴してますし、しばらく対決姿勢は続きそうですね…。
ちなみに現実の「タンクマン」は当時AP通信だった報道写真家ジェフ・ワイドナー(Jeff Widener)さんが撮ったもので、アメリカのオンライン投票では史上最高の歴史的瞬間TOP10に入っています。使ったカメラはNikon FE2。
Source: South China Morning Post