軍曹といえば『ケロロ軍曹』になるような平和な日本である。
と思っていたら、深夜、神奈川県相模市の知的障害者施設が元職員に襲われて19名も殺害されたとのニュースが入った。
計画性や偏執的な思い込みからするとサイコパスのようである。
まるで『悪の教典』を思わせる。
サイコパスな犯罪者は、頭が良い上に普通の人間としての振る舞いも出来るため、治療が難しい。
マスコミは知ってか知らずか、いつもの様に「防ぐことが出来なかったのか」と退院させた病院を責めているようだが、現実に何もしていない人間を一定期間以上、拘束できるわけがない。妄想や思い込みだけで、一生拘束できるようになれば、私も含めて大勢の人間がその対象になるだろう。
現実にそうなれば「人権侵害」とマスコミは騒ぐのだろうが。
私案だが、異常な犯罪を犯したサイコパスは、人体実験の対象にするべきだと思う。少なくとも一生監禁して、何が原因でこのような人間が出来たのかを研究することは必要ではないのか。
死刑にしてしまっては、次のサイコパス型犯罪を防ぐ対策にならない。
閑話休題。
映画『フルメタル・ジャケット』に戻る。
あまりにも有名な映画。前半の海兵隊訓練、後半のベトナムでの戦闘に分かれる。
しかし、訓練生を指導するハートマン軍曹のインパクトが大きく、後半の印象がやや薄れる。
ハートマン軍曹は本物
ハートマン軍曹演ずるロナルド・リー・アーメイは、本物の海兵隊員で、カリフォルニア州サンディエゴの海兵隊サンディエゴ新兵訓練所で、訓練教官として勤務していた。
監督のスタンリー・キューブリックが演技指導のために呼んだのだが、あまりの迫力にそのまま教官役として抜擢した。
現場の役者達は、実際に罵詈雑言を浴びせられたため、怒ったり鬱状態になったりしたらしい。
ところで、ロナルド・リー・アーメイ氏は2018年4月15日に亡くなられました。74歳でした。ご冥福をお祈りします。
あの世でも元気に怒鳴っていて欲しいものです。
ラストシーンが絶望で美しく染められる
部隊が燃え盛る廃墟の中を行軍する。ミッキーマウス行進曲を歌いながら。
─僕らは よく遊び よく働く 仲良し仲間 ミッキーマウス!(ミッキーマウス!)よい子の旗は 永遠にたなびく 男の子 女の子 近い子 遠い子 だれもが みんな大歓迎 M-I-C-K-E-Y M-O-U-S-E!─
(一応)主人公のジョーカーが「わたしはクソ地獄にいる…が。こうして生きている」のセリフで終わり。
ローリング・ストーンの『Paint It Black(黒く塗れ)』が彼らを見捨てるように流れる。
歌詞を読んで、さらに絶望的になる。
赤い扉なんか見たくない 黒くぬってしまいたい
ほかの色はもういらない みんな黒に変わればいい
明るい夏の服を着た女たちが通り過ぎる
俺は顔を背ける 俺の中にはまだ 暗闇が居座っているから・・
黒ぬりの車の列
花も彼女も二度と戻ってはこない
道行く人が振り返っては すぐに目をそらす
子どもが生まれるのと同じように ありきたりのことだから
俺はといえば 心まで黒くぬりつぶされてしまった
俺の赤い扉を 黒くぬってしまわなければ・・
そうすれば俺はかき消されて 現実に向き合わずにすむだろう
この世のすべてが真っ黒なのに 顔を上げてはいられないだろ
俺の美しい海は 悲しみの底の深いブルーに染まる
こんなことになるなんて 考えてもみなかった
沈む夕陽の中を懸命にさがせば
朝が来る前に彼女が隣で笑ってくれるとでもいうのか
赤い扉なんか見たくない 黒くぬってしまいたい
ほかの色はもういらない みんな黒に変わればいい
明るい夏の服を着た女たちが通り過ぎる
俺は顔を背ける 俺の中にはまだ 暗闇が居座っているから・・
お前の顔も黒くぬりつぶせ
夜の闇のように黒く 炭のように黒く
太陽なんか消えてしまえ
黒くぬりつぶせ 何もかも 黒くぬりつぶせ
絶望がある意味、快感に変わるのだ。