吾妻ひでお、死す。地獄は笑える。『チョッキン』が好きだったなー

2ヶ月ほど前の話。

漫画家の吾妻ひでお、ついに死す。

昨年の2019年10月13日、食道がんが転移し死去。69歳だった。

 

漫画が描けなくなり、アル中に。

幻覚や幻聴、鬱に苦しみ、ホームレスに。

その体験を漫画にしたのが『失踪日記』『失踪日記2』です。


『失踪日記』が、我が身の事のように思える人は多いのでは。

『失踪日記2 アル中病棟』の精神病院内の細かい描写が秀逸。

精神科の看護師さんは、優しいような冷たいような不思議な存在。

精神科医は訳のわからない話を一日中聞かされているので、診察時に(目を開けたまま)寝ていることが多い。などの精神科あるあるが笑えます。

チャンピオンの『チョッキン』が好きだった。

少年時代に『チョッキン』の愛読者だった。

金田チョッキンの一族、金田家(かねだけ)とその周辺の話。

名前の通りケチの一族。

 (ただし、復刻版はちょっと高い。吾妻ひでおの呪いなのか)

mangapedia.com

概要・あらすじ

日々アルバイトに内職に精を出す中学生の主人公チョッキンは超どケチ。貯金通帳が命より大事で、200円の学級費を出し渋り、テストでは鉛筆の芯が減るので何も書かない。チョッキンのDNAは、会社をいくつも経営しながら、授業参観に来ても内職を始めるようなチョッキンの父親から受け継いだもの。そんな家族と住む家も、超ボロ家。

チョッキンは春夏秋冬どんな小さなイベントでも商売に結びつけ、アコギな稼ぎのネタにしてしまう。

 

登場人物・キャラクター

・金田 チョッキン

授業中でも内職に精を出し、放課後もアルバイトで小金を貯める守銭奴の中学生。貯金のためなら悪事もいとわず、ドケチな生活をしている。同じく守銭奴の父、母とともにボロボロの家に住むが、実は父はいくつもの会社を経営している社長で金持ち。金田チョッキン自身も大金を貯金している。

 

・長谷川 絵美

ヒロイン的存在で成績優秀の美人女子中学生。金田チョッキンのクラスメートで、いつも金田チョッキンに振り回されているが仲が良く、二人だけで出かけることもある。金田チョッキンの体の心配をするなど、優しい。犬が好き。

 

・父

金田チョッキンの父親。いくつもの会社、マンションを経営する社長だが、超どケチな生活をしている。自分が経営するマンションの屋上にボロ家を建て、金田チョッキン、妻とともに住んでいる。手術代惜しさに、金田チョッキンの盲腸を包丁を使って切り取った。

 

・母

金田チョッキンの母親。守銭奴で超どケチ。金田チョッキンが幼い時に、お金探しの訓練をさせた。金田チョッキンと夫と3人でボロ家で生活している。夫とは仲が良く、金田チョッキンの前でいちゃつくことがある。

印象に残っているこんな場面が。

誰も相手にしてくれなくなったチョッキンがホームレスになり、通りすがりの少女(ガールフレンドの絵美ちゃん)に恵んでもらった食物にあたり死亡する夢をみる 。

まるで吾妻ひでおが自らの人生を予見していたような内容。

 

地獄のような人生がギャクになるとは、天才しか描き得ない作品。