今日の中国61 マルクス生誕200年。礼賛キャンペーン中

「共産主義は大量殺戮を引き起こしたが、マルクスは違う」

こんな理屈が通用するのは、一度信じた自分を信じたいからです。

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日本には「マルクスは素晴らしい。マルクス主義を実行した連中が間違っていただけ」と主張する学者やジャーナリストがたくさんいます。

 

自分が実行する時は、間違えないとの意味でしょうか。

現実の人間相手に、何度も失敗した社会実験を行うのはやめてほしいものです。

 

マルクスの主張をひと言で表現すれば、

「金持ちを殺し、その財産を奪ってみんなで公平に分ければ、幸せになる」

です。

「金持ち」の定義を、権力を握った者がその都度変えるので、やりたい放題の社会になります。

ロシアも中国もカンボジアもその教えを忠実に守って、実行し、何千万人もの人間を死に追いやりました。

 

彼らはマルクスの教えを全力で遂行しただけなのです。

 

マルクスは1818年5月5日、ドイツで誕生しました。生誕200年です。

中国ではそれを祝って、マルクス礼賛キャンペーン中だとか。

あの国も懲りない国です。

www.nikkei.com

中国、異例のマルクス礼賛キャンペーン
生誕200年、習氏の権威高める思惑
中国・台湾
2018/5/7 23:33

 【北京=高橋哲史】中国共産党がドイツの思想家カール・マルクスの生誕200年を記念し、異例の学習キャンペーンを繰り広げている。習近平(シー・ジンピン)国家主席の名前を冠した思想を「21世紀のマルクス主義」と位置づけ、長期政権に向けて着々と地歩を固める習氏の権威を高める思惑がにじむ。

 

 「マルクス主義が中国を輝かしい成功の道に導く」。党機関紙の人民日報は7日、マルクス主義の意義を説いた習氏の発言を読み解く解説記事を1面に掲載した。4月半ばから、党や国営のメディアを総動員したすさまじいマルクス礼賛のキャンペーンが続く。

 

 マルクスは1818年5月5日にドイツ南西部のトリーアで生まれた。資本主義を批判し、共産主義の思想を生み出した歴史上の人物として、中国でもその名を知らぬ人はいない。

 

 誕生日の前日にあたる4日、共産党は北京の人民大会堂に約3千人の幹部を集めて記念大会を開いた。「マルクスは全世界のプロレタリアートと勤労人民の革命の教師で、近代以降の最も偉大な思想家である」。演説した習氏は、マルクス主義がなければいまの中国はなかったと強調した。

 

 40年前に改革開放にかじを切り、経済に資本主義の仕組みを大胆に取り入れた中国で、いまなぜマルクスなのか。

 

 党の序列5位で、イデオロギーを担当する王滬寧(ワン・フーニン)政治局常務委員の発言からそのねらいが読み取れる。「『習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想』は21世紀のマルクス主義である」。王氏は6日に開いた党の学習会でこう力説した。

 

 王氏が指摘した「習近平の新時代の…」は、2017年10月の党大会で党規約に盛り込まれ、今年3月の全国人民代表大会(国会に相当)で憲法にも明記された党の指導思想である。現役の指導者の名前を冠した思想が引退前に党規約や憲法に書き込まれたのは、建国の父である毛沢東氏を除けば例がない。

 

 目立った実績のない習氏が自らの思想を掲げ、長期政権に向けて求心力を高めようとしたのは明らかだった。

 

 だが、その中身は何かと問われても、まともに答えられる共産党員は少ない。習氏がマルクスの思想を受け継ぎ、現代の中国に合わせて作りかえたのが「習近平思想」だと位置づければ、いちおう説明はつく。ときならぬマルクス礼賛のキャンペーンには習氏とマルクスをだぶらせ、思想面でも習氏の権威を高めようという思惑がのぞく。

 

 もちろん、少なくとも経済面ではすでに資本主義と同じ道を歩む中国で「いまさらマルクスはないだろう」と冷めた声が多いのも事実だ。

 

 「なによりも滑稽なのは(中国共産党の指導者ら)資本家たちがマルクスの誕生日を祝っていることだ」「マルクスを記念すると言ったって、中国で本当のマルクス主義が実践されたためしはないではないか」。ネット上には批判的な書き込みが相次いでおり、習氏の権威づけにつながるかは微妙な面もある。