観ても観なくてもいい映画の典型
『ロボコップ』(1987年)の監督ポール・ボーハーベンが作った、観ても観なくてもどっちでもいい映画。
『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997年)。
原作『宇宙の戦士』は、渋い愛国者の話
原作は『宇宙の戦士』(米国1959年、日本1967年)ロバート・A・ハインラインの名作である。
下は昔の表紙とイラスト。こちらのほうが圧倒的に格好良い。
ガンダム好きな人なら多分ほとんどの人が読んでいるだろうSF小説。
現在、アニメや映画で描かれるパワードスーツの概念は、この小説が始めたと思われる。
映画と原作は全くと言っていいほど、違う内容だ。
小説では、主人公が愛国者な機動歩兵の兵士であったため、右翼的と批判されていた。
日本語訳が1967年(昭和42年)だから当時としては当然である。
左翼の共産主義勢力は、日本人が愛国的な発言をしただけで言論封殺していたのだ。
今でこそ共産主義勢力や共産主義国への批判はかなり自由になっているが、51年前のこの頃の日本では、全く不可能であった。(もちろんインターネット環境はない。原型はあったが)
マスコミ(当時はTV、ラジオ、新聞)で、ソビエト連邦(現ロシア)や中国の悪口(当たり前の批判)を言おうものなら、吊るし上げられて、言論を封殺されるような状況だった。
学校でも同じ状況で、中国を礼賛する歴史教師に批判的な意見をした同級生が、しばらく無視されていた。
洗脳が解けるのには時間がかかる。
それはともかく、映画『スターシップ・トゥルーパーズ』はやっつけ仕事の内容である。おそらく、ポール・ボーハーベンは戦争を繰り返すアメリカへの批判を込めたつもりなのだろうが、SFとしての出来が悪すぎて笑ってしまう。
これでは、反戦映画にならない。
才能がある人が、時々びっくりするようなつまらない作品を発表することがあるが、この映画はその典型だ。