韓国では、格差を解消しようとして最低賃金を(前年比)16.4%上げました。
結果、
所得が低い階層の所得がさらに減少し、所得が多い階層の所得がさらに増えた。つまり、経済格差が拡大した
のです。
中小企業や商店などは、いきなり賃金が16.4%も上がったために、人員削減したり雇用や就業時間を短縮せざるを得なくなった。
つまり、最低賃金は上昇しても、最終的な所得が減少したのです。
「大企業ばかりが儲けてけしからん」との感情論だけで経済政策を行うとこんな目に会います。
左翼政権が陥りやすい失敗です。
「金持ちが悪いのから格差社会になる。金持ちをイジメて庶民の賃金を上げれば格差は解消する」と短絡的に考えたのです。
経済の仕組みは、政治家が小手先でなんとかしようとしてもできないのです。
「格差拡大」統計に衝撃を受ける韓国政府
「庶民重視」で最低賃金を大幅に引き上げたのが裏目?
2018.6.1(金) 玉置 直司
2018年5月24日、ふだんならあまり注目を浴びない経済統計が発表になると韓国メディアは大騒ぎになった。
「経済政策失敗」
翌日の新聞にはこんな見出しの記事があふれた。あわてた文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)大統領は5月29日に、2時間半にわたって「緊急経済点検会議」を開催することになった。
その統計とは、統計庁が発表した「2018年1~3月期家計所得統計」だった。
所得に応じて世帯を5分類し、それぞれの所得がいくらだったかという重要だが地味な統計だ。ふだんはメディアも関心をほとんど寄せない。ところが、思わぬ結果が出て一気に注目を浴びてしまった。
家計所得統計の衝撃
所得下位20%の「第1階層」の所得が前年同期比8%減、下位20~40%の「第2階層」の所得が同4%減になってしまった。
逆に、上位20%の「第5階層」の所得は同9.3%増を記録したのだ。
所得が低い階層の所得がさらに減少し、所得が多い階層の所得がさらに増えた。つまり、経済格差が拡大したということだ。それもかなりのペースで。
これは「庶民中心経済」「格差是正」を掲げる文在寅政権にとっては衝撃的な数字だった。
「第1階層」の所得は、2016年に前年比2.9%減少した。しかし、文在寅政権の登場とともに2017年4~6月期からプラスに転じていた。それが、1~3月期に一気に大幅マイナスになってしまったからだ。
「格差是正」のための政策を続ければ、このプラス傾向が定着するはずだった。ところがそうならなかったばかりか、富裕層の所得は増えてしまった。
最低賃金引き上げのせい?
「最低賃金引き上げの逆効果ではないか」
今回の結果に、これまでの現政権の経済政策を批判してきたメディアや専門家は勢いづいた。標的は「賃上げ政策」だ。
文在寅政権は、「経済格差是正策」の目玉として、最低賃金の引き上げを果敢に実施した。2018年の最低賃金は、前年比なんと16.4%増の7530ウォン(1円=10ウォン)になった。
週40時間、月209時間勤務の場合、月額は157万3770ウォンになる。庶民層の所得を引き上げて格差を是正しようという狙いだ。
この引き上げが実施されたのが1月。本来ならば、「第1階層」や「第2階層」は増えるはずだ。なにしろ、16%を超える賃上げなのだ。
ところが、こともあろうに、賃上げ効果が出るはずの1~3月に所得はマイナスになった。一体どうしてこうなってしまったのか?
政策批判派は、「無理な賃上げの副作用だ」と声を高める。
民主党政権、最低賃金 時給を1000円にすると公約していた
他人事とは思えません。
2009年から2010年までの左翼政権、民主党(現時点の立憲民主党、国民民主党)のことです。
この時、民主党は「最低賃金、時給を1000円にします」などと公約していたことが思い出されます。
実行されなかったことが幸いでした。
景気が悪い状態で、無理やり給与だけを上げても、企業の人員削減が行われるだけなのは、素人が考えてもわかる道理です。
経済を知らない人間がトップに立つと国民はえらい目にあいます。