芸術家が、人格者である必要はありません。
結果である作品が素晴らしければそれでいい。
画家に到っては、明らかに良識が欠ける人間が多いぐらいです。
パブロ・ピカソはその典型。
ただし、それを責めることは野暮です。美的な才能にあふれる人間が偏った性癖なのは、世界史的に見てもよくあることだからです。
パブロ・ピカソはフランス共産党員だった
偏った性格が偏った思想をチョイスすることは、ある意味当然なのかもしれません。
パブロ・ピカソは共産党員でした。
1944年、フランス共産党に入党し、死ぬまで共産党員でした。
ピカソの描いたスターリンは怖い
こんな絵も描いています。
1953年のスターリン死去に際して、党からスターリンの肖像画を依頼されました。
ピカソは、本人に会ったことがなかったので、写真をもとに描きました。
そして、往年のスターリンではなく、青年時代のスターリンをデッサンしています。
この絵は、スターリンの追悼のために描かれたものです。
ところが、どこか冷酷で恐ろしげな雰囲気が漂っています。
そのためなのか、フランス共産党の内部でも「スターリン肖像事件」として内紛のきっかけになったらしいのです。
追悼には相応しくないと感じた共産党員がいたのでしょう。
写真よりもピカソの絵のほうが、独裁者の深淵を描き出している。
2000万人の自国民を粛清したといわれる男の凄みが、肖像画から感じられるようです。
画家としては無意識に真実を見抜いていたのかもしれません。
けれども、共産党員としてのピカソ本人は、思想的に全くぶれませんでした。