中国の首都医科大学の専門家が、AIを使って自殺を未然に防ぐシステムを開発したそうです。
中国版LINE(ライン)と呼ばれる微信(ウェイシン)にあがる個人情報を分析して、自殺危険度が判別できるのです。
同時に書き込んだ人の年齢や所在地、連絡方法、どれだけ切迫した状況かなどの分析結果も送られてくる
とか。
不気味な話です。
開発者の黄さんは、プライバシーに配慮しているが、命の危険がある場合は(プライバシーを侵害しても)許されるといった考えのようです。
そんな発想は中国のような監視国家でしか通用しません。
原則としてカウンセラーや精神科医は、本人から聞いた話はたとえ自殺をほのめかす内容であっても口外しないものです。
それだからこそ利用者に信頼される。
東京新聞は親中派なので、たぶん美談又は良い話として紹介したつもりでしょう。
しかし、私が中国人であれば、「自殺する自由もないのか」と逆ギレしたくなります。
監視されすぎです。
個人の心の中まで検閲し、他者(警察など)に伝えることが許されるのか。
このAI開発者は善意かもしれませんが、 結果として体制に反対する人間をあぶり出すために使用されるでしょう。
共産党は党に批判的な人民を発見するために公然と検閲しているのです。
そのついでに自殺を防止していますよと言われてもなー。
【国際】
AIで自殺防げ 中国 危険度、ネット発言で判断
2019年8月19日 夕刊中国で人工知能(AI)を使ってインターネット上の自殺をほのめかす発言を見つけ、自殺を未然に防ぐ民間の活動が始まった。約三百人のボランティアが活動を支え、一年間で六百人以上に自殺を踏みとどまらせたという。この新たな活動を率いるのは首都医科大学(北京)のAI専門家、黄智生(こうちしょう)教授だが、「実際に自殺を防いでいるのはAIではなく、たくさんのボランティアの努力だ」と話している。
「晴れた日に着心地のいいパジャマを着て、練炭に火を付けたら、ただ眠るのと同じだろう」
「一緒に飛び降りよう」
中国版LINE(ライン)と呼ばれる微信(ウェイシン)を介し、黄氏には毎晩、AIがネット上で発見した自殺をほのめかす書き込みが届く。同時に書き込んだ人の年齢や所在地、連絡方法、どれだけ切迫した状況かなどの分析結果も送られてくる。
黄氏はこの情報をもとに、自殺の危険のある人物一人に五人程度のボランティアを割り当てる。自宅などで待機するボランティアは会員制交流サイト(SNS)を介して「死なないで」などと呼びかけるほか、実際に現場に駆けつけることもある。警察への通報も選択肢の一つだ。
救援活動の対象は一日十人。人手が足りず、それ以上は対応できないためだ。このうち平均二、三人に対して「救援活動が成果を上げている」(黄氏)。
心に秘密を抱えた人が樹木の洞に向けて心の内を吐露して泥で固める-。中国のこんな昔話にちなみ、黄氏らは自殺前に心の内をネット上に書き残すことを「樹洞(じゅどう)行動」と呼ぶ。
AIの専門家として医療分野への応用を研究する黄氏は昨年四月、中国版ツイッターとも呼ばれる微博(ウェイボ)での「樹洞行動」をAIで見つけて分析するプロジェクトを始め、自殺の危険度を判断するプログラムをつくった。黄氏は「以前のAIは特定の単語が多いか少ないかで、意味を推測していた。現在は文章全体の意味も分析できる」と話す。昨年八月の運用開始から改良を重ね、自殺の兆候を捉える正確性は80%以上に達しているという。
プログラムは自殺の危険度を十段階に分ける。最も危険な十級は「自殺が進行中」だ。以下、自殺の方法や日時を確定させているかなどを判断し、六級以上を救援活動の対象とする。一方で「具体的な自殺方法を決めていない」とされる五級以下の場合は介入しない。黄氏は「自らネット上に公開した情報でも、それを分析すればプライバシーに踏み込んでしまう。命の危険がある場合を除いてそれは許されない」との考えだ。
黄氏によると、救援活動の対象者は十六~二十六歳の若者が大部分を占め、男女比は三対一で女性が多い。中国では、うつ病罹患(りかん)者は女性の方が多いこともあり、ネット上の「樹洞行動」は若い女性が圧倒的に多いとみられる。
黄氏は当初、AIで自殺願望者を見つけ、家族に危険を知らせたら一件落着という活動を想定していたが、「それでは命を救えないとすぐに気づいた。多くの場合、家族は頼りにならなかった」と振り返る。
背景にはうつ病など心の病に対する無理解があるという。黄氏は「中国は急激に物質的に豊かになり、少し上の世代は食べ物も金も仕事もあるのに死にたいという若者が理解できない。『あなたの子どもが今、練炭に火を付けた』と電話しても、信じてもらえないことも多い」と明かす。
家族があてにできないため、結果として実際の救援活動はボランティアが主体となっている。ボランティアには心理カウンセラーなどの専門家や、学生などの若者、退職後の高齢者が多く、口コミなどで自然に増えていった。黄氏は「活動のカギはAIではなく、命を救いたいというボランティアの存在だ」と強調した。