12月4日、アフガニスタンにて中村哲医師が銃撃により死亡しました。
中村医師は、憲法9条を堅持する立場から活動をしていたようです。
「向こうに行って、9条がバックボーンとして僕らの活動を支えていてくれる、これが我々を守ってきてくれたんだな、という実感がありますよ。体で感じた想いですよ。武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ。それを、現地の人たちも分かってくれているんです。だから、政府側も反政府側も、タリバンだって我々には手を出さない。むしろ、守ってくれているんです。9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。」
憲法9条は、武力勢力から日本人を守ってくれないことがはっきりしました。
これは事実です。
もちろん、そのことは中村医師自身が一番良くわかっていた筈です。
それでも、信じたかったのでしょう。
本人はクリスチャンでしたが、やはり日本人です。言霊教徒であるがゆえに、本当のことを言ってしまうことができなかった。
死者を貶めるつもりは全くありません。
私自身の心情からすれば、
中村医師の人生はうらやましいとしか言えません。
目の前の苦しむ人々にできる限りのことをしたその業績は消えるものではない。
彼は己の信念に殉じたのです。
石川啄木の『一握の砂』にある
こころよく
我にはたらく仕事あれ
それを仕遂しとげて死なむと思ふ
そのままに「我にはたらく仕事」を遂げたのです。
(石川啄木は中村医師と違い、自己愛の塊のようなダメ人間でしたが、その歌の美しさは天才のみが作り得るものです)
アフガニスタンは戦国時代のまま
現代の日本人的感覚からすると、
「医療や緑化のために支援している人を何故殺害するのか」
との疑問がわきます。
アフガニスタンはまだ戦国時代なのです。
(西洋風の)近代国家としての国ではありません。
「アフガニスタン人」とひとくくりにできる国民が存在しないと言ってもいい。
例えるならば、日本の戦国時代に、外国から医師が来訪し、特定の大名と地域を支援していたと考えると理由がわかります。
当時は近代国家の「日本人」という概念がありません。
そのため、他の敵対する武将や大名からは明らかに敵を利する行為であり、結果として敵の味方は敵になるのです。
現政権を支配しているのは、多数(45%)を占めるパシュトゥーン人であり、今月再選されたアシュラフ・ガニー大統領もパシュトゥーン人です。
その他の少数民族やタリバンなどは、国からの支援をほとんど受けられないといってもいい。
世界のヘロイン、90%がアフガン産
またアフガニスタンはケシの花から精製されるヘロインを輸出しており、世界流通量の90%以上がアフガニスタン産です。
井戸を掘り、灌漑によって砂漠を緑化させることは、ケシ栽培を妨害することにもつながるのです。