前作、
の続編。
ロシアは、この映画に描かれた頃とあまり変わっていない。
昨日9月18日に行われた下院議員選挙で、プーチン大統領率いる政権与党の「統一ロシア」が過半数を獲得。
投票では、当然のように、不正があったらしい。
リオデジャネイロ五輪では、ロシアの選手は、国家ぐるみのドーピングが発覚し、五輪では一部の選手、パラリンピックでは全選手が参加できなかった。
この報復として、ロシアは世界反ドーピング機関(WADA)にハッカー攻撃をかけた。
「ファンシーベア(幻想的な熊)」と名乗るハッカー集団が仕掛けたとされているが、国家ぐるみのドーピングをするような国なので、背後にロシア政府とプーチン大統領がいるのは明白である。
ハッキングをされた側は、どこから攻撃したか把握しているからだ。
映画の話に戻る。
『戦火のナージャ』のスターリン役は適役である。
ついでにいうと、ラヴレンチー・ベリアもそっくりである。
ベリアはソ連の秘密警察NKVD(内務人民委員部)の議長として、大勢の人間を粛清した当事者だ。
ナチス・ドイツ(今のドイツ連邦共和国)とソビエト連邦(今のロシア連邦)の戦争は、人類史上最大・最悪の地上戦になった。
戦死者だけみても凄惨さが伝わる。
ドイツの兵士だけで500万人、ソ連兵士だけで1128万人。
民間人の犠牲者含めると、ドイツは約600~1000万人、ソ連は2000~3000万人が死亡している。
まさに、悪魔と魔王の血みどろの戦いと言っていいだろう。
その独ソ戦を、ロシアの監督が、撮影するとこんなに酷い描写になる。
アメリカ人ではここまでは描けまい。
それにアメリカ映画の場合、ロシア人なのに英語、ドイツ人なのに英語を話しているので、かなり違和感がある。
前作でも監督の娘自慢がみられたが、今作でもやはり娘を美しく撮りたかったのだろう。
看護兵になったナージャが瀕死の戦車兵を看護する。
彼はまだ十代の少年兵で、顔は焼けただれ、背中に大きな穴があいており、もう助かる見込みはない。
少年兵自身もそれが分かっており、「胸を見せてくれ。キスしたこともないんだ」と哀願する。
ナージャは最後の願いを叶えてあげようと、ややためらいながらも上半身の服を脱ぐ。
彼女が顔を上げて少年兵の顔を見たときには、すでに事切れていた。
監督の「俺の娘は綺麗だろう」との自慢がきこえてくる。
同時に、戦場の兵士が、女性に対して(良い意味でも悪い意味でも)飢えていたことが理解できる生々しい場面だ。