映画『ハングリー・ハーツ』下痢の後のトイレは悲惨

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あらすじ

ニューヨークのある中華料理店のトイレから物語が始まります。

そこで出会ったジュード(アダム・ドライヴァー)とミナ(アルバ・ロヴァケル)は、恋に落ちて結婚します。

やがて妊娠し、男の子が生まれるのですが、もともと菜食主義者だったミナは息子にも自家栽培した野菜しか食べさせません。そればかりか、外の世界の空気が子供を汚すと主張して部屋に閉じこもってしまいます。

夫のジュードは優しく説得を繰り返すのですが、全く聞く耳を持ちません。

ミナも子供も栄養失調のためにやせ細っていく。

映画の始まりに大爆笑

導入部分に大爆笑でした。

“緊急事態”のため中華料理店のトイレに入ったジュード。そこへミナがやってきます。

一息ついて出てきたジュードと化粧室で鉢合わせする。男女兼用トイレだった。

男性がいたのですぐに出ようとしたミナでしたが、化粧室のドアが開きません。

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2人はトイレに閉じ込められたのです。

そんな状態で、こんな会話が。

「クサイ。まるで毒ガスよ」鼻をつまみながら口呼吸するミナ

「本当に申し訳ない」とジュード

「最悪よ」

「魚が悪かったか、熱があるのかも。すまない、かなり恥ずかしい」

「逮捕されるかもね」

こんな臭い会話をしているうちに、店員がドアを蹴破ってくれます。

その後、2人は交際を始めます。

 

お腹の弱い人間にとって便意は拷問です。

しかも、そんな人に限って排出された糞便が異常に臭い。

 

実は、私も同じような経験があるので、爆笑してしまいました。

妻から未だに「あんた、腸が腐ってるんちゃうの」と言われるので、

「われながらそう思う。確かに臭い」などと夫婦間で会話しています。

 

この導入部分がこの映画の最高地点でした。

映画も物語なので、どんな設定も許されるけど

物語はどんな舞台を設定してもかまわないと考えています。

時代もシチュエーションも。

 

ただし仕事柄、心の病に関してはちょっと引っかかります

映画のラストは特に気になります。

精神を病んだ患者は殺してあげたほうが幸せ、みたいな感じが嫌なのです。

ミナは明らかに統合失調症です。

  • 妊娠した時からかたくなに菜食主義を貫き、胎児に影響が出るとの医者の指示も聞かない。
  • 子供にまで、肉類を与えない。
  • 外の空気や食物は汚れていると妄想している。
  • とにかく医者を嫌う(自分は病気であるとの意識がないから)。
  • 夫から「子供を餓死させる気か!」と怒られても、激しい言葉で怒鳴られたとしか受けとめられず、自分は正しいと思い込んでる。

 

明らかに統合失調症の症状です。

現在の精神医学で、統合失調症は治療が可能な病気です。

完璧ではなくとも薬物療法によってかなりの改善が見られます。

寛解ともいいます。完治しているわけではないけれど、症状が治まって穏やかな状態。

 

元々の体質的に原因があります。精神の場合、明らかに脳自体が病みやすい傾向の人がいるのです。

 

義母の「あの人はおかしい」とのセリフがありました。その通りです。精神を病んでいるのですから。

望まぬ妊娠や仕事を辞めたことは単なるきっかけに過ぎません。

中出しした夫を責めても病気は治りません。

 

精神医学的なアプローチをしなければ、愛だけでは統合失調症は改善しません。

優しさや愛だけでは、治らないのです。

夫が優しすぎるために、治療が遅れたことが問題なのです。

 

こんなことを考えていると映画の結末が哀しく、辛くなってしまいました。