あらすじ
題名の『ラザロ・エフェクト』→ラザロ効果です。
ラザロとは新約聖書に登場するイエスの友人。死後4日目、イエスの奇跡によって甦ったことで有名。
フランクとゾーイは婚約者で、共にラザロ血清の研究をする科学者だった。表向きは昏睡状態の患者を蘇生させるための研究をしていたが、実は死者を蘇らせることを目的としていた。
ところが、大学に研究目的がバレてしまい倫理上の方針から中止されることになる。
キリスト教系の大学だった。研究結果を得るため仲間たちと、忍び込んで実験をしているうちに、ゾーイが感電死してしまう。
フランクは絶望するが、愛するゾーイをラザロ血清によって蘇らせようとする。
それは、凄惨な悲劇の始まりだった。
ラザロ徴候とは
医学用語に、“ラザロ徴候”と呼ばれる現象があります。脳死した患者が自発的に手や足を動かす動作のことです。
高校生の時、生物の先生からこの話を聞いたことがありました。
先生の大学時代、バイトのため構内の警備をしていたらしいのですが、医学部の遺体安置所も見まわっていたそうです。
一旦奥まで行き、再度安置所をのぞくと、さっきまで横たわっていた遺体が起き上がっている。心臓が止まりそうになったとか。
当時は真剣に信じていましたが、よく考えるとあれは冗談だったのでしょう。
実際に起きるラザロ徴候は、脊髄の自動反射のため手足が動く程度で、起き上がることは無いそうです。
ラザロ徴候の元ネタは新約聖書
ヨハネによる福音書第11章にあります。
ちょっと長くなりますが引用します。
ヨハネによる福音書
第11章(CHAPTER 11)より
- さて、ひとりの病人がいた。ラザロといい、マリヤとその姉妹マルタの村ベタニヤの人であった。
- このマリヤは主に香油をぬり、自分の髪の毛で、主の足をふいた女であって、病気であったのは、彼女の兄弟ラザロであった。
- 姉妹たちは人をイエスのもとにつかわして、「主よ、ただ今、あなたが愛しておられる者が病気をしています」と言わせた。
- イエスはそれを聞いて言われた、「この病気は死ぬほどのものではない。それは神の栄光のため、また、神の子がそれによって栄光を受けるためのものである」。
- イエスは、マルタとその姉妹とラザロとを愛しておられた。
- ラザロが病気であることを聞いてから、なおふつか、そのおられた所に滞在された。
- それから弟子(でし)たちに、「もう一度ユダヤに行こう」と言われた。
- 弟子たちは言った、「先生、ユダヤ人らが、さきほどもあなたを石で殺そうとしていましたのに、またそこに行かれるのですか」。
- イエスは答えられた、「一日には十二時間あるではないか。昼間あるけば、人はつまずくことはない。この世の光を見ているからである。
- しかし、夜あるけば、つまずく。その人のうちに、光がないからである」。
- そう言われたが、それからまた、彼らに言われた、「わたしたちの友ラザロが眠っている。わたしは彼を起しに行く」。
- すると弟子(でし)たちは言った、「主よ、眠っているのでしたら、助かるでしょう」。
- イエスはラザロが死んだことを言われたのであるが、弟子たちは、眠って休んでいることをさして言われたのだと思った。
- するとイエスは、あからさまに彼らに言われた、「ラザロは死んだのだ。
- そして、わたしがそこにいあわせなかったことを、あなたがたのために喜ぶ。それは、あなたがたが信じるようになるためである。では、彼のところに行こう」。
- するとデドモと呼ばれているトマスが、仲間の弟子たちに言った、「わたしたちも行って、先生と一緒に死のうではないか」。
- さて、イエスが行ってごらんになると、ラザロはすでに四日間も墓の中に置かれていた。
- ベタニヤはエルサレムに近く、二十五丁ばかり離れたところにあった。
- 大ぜいのユダヤ人が、その兄弟のことで、マルタとマリヤとを慰めようとしてきていた。
- マルタはイエスがこられたと聞いて、出迎えに行ったが、マリヤは家ですわっていた。
- マルタはイエスに言った、「主よ、もしあなたがここにいて下さったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう。
- しかし、あなたがどんなことをお願いになっても、神はかなえて下さることを、わたしは今でも存じています」。
- イエスはマルタに言われた、「あなたの兄弟はよみがえるであろう」。
- マルタは言った、「終りの日のよみがえりの時よみがえることは、存じています」。
- イエスは彼女に言われた、「わたしはよみがえりであり、命である。わたしを信じる者は、たとい死んでも生きる。
- また、生きていて、わたしを信じる者は、いつまでも死なない。あなたはこれを信じるか」。
- マルタはイエスに言った、「主よ、信じます。あなたがこの世にきたるべきキリスト、神の御子(みこ)であると信じております」。
- マルタはこう言ってから、帰って姉妹のマリヤを呼び、「先生がおいでになって、あなたを呼んでおられます」と小声で言った。
- これを聞いたマリヤはすぐ立ち上がって、イエスのもとに行った。
- イエスはまだ村に、はいってこられず、マルタがお迎えしたその場所におられた。
- マリヤと一緒に家にいて彼女を慰めていたユダヤ人たちは、マリヤが急いで立ち上がって出て行くのを見て、彼女は墓に泣きに行くのであろうと思い、そのあとからついて行った。
- マリヤは、イエスのおられる所に行ってお目にかかり、その足もとにひれ伏して言った、「主よ、もしあなたがここにいて下さったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう」。
- イエスは、彼女が泣き、また、彼女と一緒にきたユダヤ人たちも泣いているのをごらんになり、激しく感動し、また心を騒がせ、そして言われた、
- 「彼をどこに置いたのか」。彼らはイエスに言った、「主よ、きて、ごらん下さい」。
- イエスは涙を流された。
- するとユダヤ人たちは言った、「ああ、なんと彼を愛しておられたことか」。
- しかし、彼らのある人たちは言った、「あの盲人の目をあけたこの人でも、ラザロを死なせないようには、できなかったのか」。
- イエスはまた激しく感動して、墓にはいられた。それは洞穴(ほらあな)であって、そこに石がはめてあった。
- イエスは言われた、「石を取りのけなさい」。死んだラザロの姉妹マルタが言った、「主よ、もう臭くなっております。四日もたっていますから」。
- イエスは彼女に言われた、「もし信じるなら神の栄光を見るであろうと、あなたに言ったではないか」。
- 人々は石を取りのけた。すると、イエスは目を天にむけて言われた、「父よ、わたしの願いをお聞き下さったことを感謝します。
- あなたがいつでもわたしの願いを聞きいれて下さることを、よく知っています。しかし、こう申しますのは、そばに立っている人々に、あなたがわたしをつかわされたことを、信じさせるためであります」。
- こう言いながら、大声で「ラザロよ、出てきなさい」と呼ばわれた。
- すると、死人は手足を布でまかれ、顔も顔おおいで包まれたまま、出てきた。イエスは人々に言われた、「彼をほどいてやって、帰らせなさい」。
- マリヤのところにきて、イエスのなさったことを見た多くのユダヤ人たちは、イエスを信じた。
ラザロに関しては、新約聖書においてもホラーな描写です。
死後4日目ですでに腐敗しているラザロが、顔も手足も布で覆われたままゾンビのように蘇ってきます。
しかもその後の新約聖書において、ラザロはひと言も話す場面が出てきません。
なんとなく不気味なのです。
この映画の製作者もそんな描写からインスピレーションを得て、ホラー映画にしたのでしょう。
ゾーイは良いが、彼氏がイマイチ
ゾーイの「私、死んでた?」のセリフが衝撃的。
一生に一度は言ってみたい言葉です。
蘇ったゾーイはなかなかのミステリアスな美人で、ホラーには適役なのですが、彼氏のフランクがちょっとさえません。吉本興業の芸人、諸見里大介に似ています。要はおっさんすぎます。
「ゾーイは死んでいましぇん。彼女を蘇らせましゅ!」などと言って欲しかった。