本当のヒトラーなら犬に噛まれても撃ち殺したりしない、と思う
映画『帰ってきたヒトラー』には違和感があります。
ヒトラーの犬好きは有名です。
犬が好きな人は、噛まれても怒ったりしません。
ちなみに、私と嫁は猫好きです。時には、血が出るほど噛まれたこともありますが、怒りません。
猫が好きだからです。
犬猫が好きな人は、彼らが危害を加えようと人間を噛むのではないことを知っています。
犬に噛まれて怒るような人は、ドイツ帝国の総統になることは不可能でしょう。
ましてや、本物の総統がカッとして、噛んだ犬を銃で撃ち殺すことは、無理がある。
映画では(時間の制約のためか)ヒトラーの特殊で複雑な人間性を深く掘り下げていないのが残念です。
原作のほうが恐ろしい
原作では、ヒトラーが、女性や子供に対して優しく丁寧に接している場面が何回も出てきます。
実際に、彼の秘書だったトラウデル・ユンゲも著書で同じように証言しています。
原作者のティムール・ヴェルメシュは、ヒトラーを調べ尽くしている故に、まるで彼本人になりきったような書き方をしたのでしょう。
アドルフ・ヒトラーの恐ろしさは、普段は紳士的で穏やかな人物が、平気で何万人もの人間を死に追いやる命令を出していたことにあるのです。
チャールズ・チャップリンが、ヒトラーを道化かコメディアンのように描いて以来、ハリウッド映画では狂気の独裁者としかとらえていない。
大間違いです。
狂人にあのような経済政策、外交と戦争が出来るわけがありません。